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(3) 監査とモニタリング

ダイレクト・ペイメントに関する監査は、障害者の同意のもとに行われる。各自治体では、支給金のモニタリングと監査の方法について定められており、障害者はそれを理解したうえでダイレクト・ペイメントを受けている。モニターされる内容は、介助者がスケジュール通りに仕事をしているか、食事のためにダイレクト・ペイメントを受けている人は代金のレシートを保管しているか、等である。例えば24時間の介助を必要とする人の場合、4人ほどの介助者を雇用することになる。これはビジネスに近いものであり、ダイレクト・ペイメントを受けている障害者は、企業の責任者と同様の責任を負うことになる。

 

(4) ダイレクト・ペイメントの普及

障害者はあまりダイレクト・ペイメントを利用しようとしていない。ダイレクト・ペイメントにより現金が支給されて使えることを喜んでいる障害者もいるが、多くの障害者は喜ばず、自治体からの直接サービスを選ぶ人が多い。アセスメントの個々の項目について、現物のサービスか現金かを選択することにより、自治体からのサービスとダイレクト・ペイメントの両方を利用して生活している人もいる。障害者自身が自分の人生をどのように管理するか決めることができるし、サービスを受けている障害者がダイレクト・ペイメントを受けたいと言えばそのようにできる。理論的にはそのようになる。

私はダイレクト・ペイメントに関して45の自治体に関与しているが、現時点ではそのうちの2つしか実施していない。民営化につながるのを恐れている自治体や、国が実施すればいいと思っている自治体もある。議員のなかには、ダイレクト・ペイメントを実施すると、自分たちが管理の権限を失うことになると思っている人もいる。

一方で、障害者は自分でサービスを管理したいと思っており、障害者は皆自分の選んだ人に介助してもらいたいと思っている。サービスに対する不平の多くは、ドアがノックされる段階まで誰が介助に来るかわからないということである。またサービスが提供される時間が限られているので、夜の8時半にベッドに行かなければならないこともある。しかし、ダイレクト・ペイメントを受けていれば、11時や12時に寝ることもできる。

自治体に対しては、ダイレクト・ペイメントを実施するよう障害者自身が説得するしかない。障害者の発言が最も影響力があり、運動の担い手として最適なので、障害者たちにロビイング活動をするよう働きかけている。ダイレクト・ペイメントを制度化している自治体は少ない。また、障害者は制度の運用に不安を感じていて、制度がうまく使われていないと懸念している。準備不足のなかでこの制度ができてしまうと、結果的によくないだろうと言われている。拙速はよくない状況を招くと考えられており、実施のスピードは非常に遅い。しかし、できるだけダイレクト・ペイメントを普及させたいと思っている。

 

 

 

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