2 ダイレクト・ペイメント(直接給付)の概要
(1) 制度の創設をめぐって
政府は、3〜4年前までダイレクト・ペイメントに猛反対していた。法案を審議していたウエストミンスターの巨大なホールにはマイクがなく、議会で議論している内容も聞こえなかった。2年間の闘争の後、議会がマイク設備を導入し、議論を聴くことができるようになった。このような障害者のロビイング活動の力により、政府は導入を決定した。
法律が討議されていた段階では、障害者が自分たちの問題をレポートの形で提出することが許され、7月には障害者と介助者を合わせて1000人ほどが集まった。委員12人のうち、3人が障害者、3人が障害関係の団体、それ以外は官僚だった。ダイレクト・ペイメントについての政府の諮問委員会には、障害者代表としてジェーン・キャンベル(現、全国自立生活センターディレクター)と私が参加し、法案とガイダンス資料がつくられた。18か月にわたって関係官僚に働きかけた結果、当事者の意見を反映することに成功した。
例えばダイレクト・ペイメントは介助だけの問題と考えられていたが、介助以外の部分も含んでいることを説明し、政府は同意した。また、視覚障害者や聴覚障害者も活用できると主張し、この点についても政府は同意した。さらに、対象者の年齢について政府は18〜65才までとしていたのに対し、65才以上でも自分で財政管理ができる人がいると主張した。政府はその点には同意しなかったが、法の施行1年後に見直しを約束している。65才になる以前にダイレクト・ペイメントを受けていれば、65才を過ぎてもそのまま受けられることになっている。また、法に基づいて病院に拘束されている精神障害者は対象から除外されているが、退院したら彼らもダイレクト・ぺイメントを受けることができる。
ガイダンス資料に関してはいくつかの草案を作成し、最終案がつくられていった。細かい点まで障害者が発言することが許された初めての経験だった。これから障害者が影響力を行使していく機会は、だんだん増えていくだろう。
(2) ダイレクト・ペイメントにおけるアセスメント
アセスメントにサポーター(支援者)を同席させることを禁止する理由はない。同席させることは障害者にとって利益になるが、法律上の権利として位置づけられてはいない。
アセスメントの時には、ダイレクト・ペイメントの原則が説明されなければならない。ケアプランのなかで、何についてダイレクト・ペイメントが実施されるかも規定される。例えば、起きる時の介助、食事の準備、通勤の手段などの項目についてアセスメントが行われ、ダイレクト・ペイメントの対象となると決定されたら、それ以外には使えない。