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第10章 実施すべき方策

 

将来像実現のために実施すべき方策として、次の項目を挙げる。これらの項目は、事業者が協同・共同で、あるいは業界団体又は行政の支援を得つつ行っていくことが望まれる事項に重きをおいて掲げる。

?@造船業の構造改善、?A生産体制の効率化、?B労働力の確保、?Cニーズにマッチした船舶技術の開発、?D新規需要への取り組みである。

基本は個別企業の自助努力であり、個別企業単位では、先の項目にさらに加えて、?E柔軟な経営体制の確立が必要である。

これらの対策は、個別企業単位での実施が基本であるが、限界があることから、事業者間、関連業界や団体・地方自治体等との縦横の連携を強め、対処していくことが必要である。これを実現するために、?F造船関係技術懇談会の設立、?G地域・関係団体との結びつきの強化を提言する。

なお、規模別に取り組みが異なる点については、規模(3区分)別に記載した。

【大手・中手】【中型】【小型】【舶用】の表示をしている。特に表示のない事項については、共通事項または共同で取り組むべき事項である。

 

1. 造船業の構造改善

 

規制緩和などの条件整備に伴い、造船所は自己責任の原則に則って設備投資など経営意思決定を行い、生産性向上と効率化を図り、競争力を高めていくことが求められている。その結果、業界全体としては各社の独自性が現れ、活性化すると思われる。

しかしながら、経営資源の乏しい小型造船所においては方向転換も難しく、規模縮小あるいは、撤退を余儀なくされる事業者が生じることも予想される。

その場合、多くの従業者と関連企業を抱え、地域社会との密接な結び付きを有するところから、地域社会問題、雇用問題などについて円滑な解決を図らねばならない。

地域社会の混乱を予防するためには、事業転換、撤退のための支援を活用していくことが必要である。

 

(1)各社毎の方向性の見極め

【小型】

内航船においては新造船需要回復がここ5〜10年は見込めないことから、業界構造の再編は欠かせない。

将来の需要見通しは先に見た通り、悲観的なケースの場合、過去実績の半分程度の仕事量しかない。このため、経営資源の状況によっては、業務縮小も考える時期に来ている。各小型造船所経営者にはその見極めが必要である。

 

 

 

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