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?B.労働力不足への対応

造船所の社外工を含めた年齢構成のいびつさは大きな問題となっており、まさに正念場にさしかかっている。

工程の機械化・自動化を進めることはもちろんのことではあるが、直ちに大半の業務が機械化できるわけではない。しかも、退職年齢が迫っているため、技能の後継が大きな問題となる。これは舶用工業も含めた業界共通の問題点であり、早急に取り組む必要がある。

?C.技術高度化

今後において、在来型船舶の需要が大きくは期待できにくいとすれば、モーダルシフト、輸送ニーズの高度化・多様化に対応した、より高付加価値な船舶に取り組んでいく必要があり、わが国の中型・小型造船業界をリードする四国の造船業においては、積極的な対応が求められる。

そのためには、関連産業との連携により、最適設計を提案し、それをより低いコストで建造しうる工程管理を実現する必要がある。造船業は複合組立型産業であり、関係する産業の総力が結集して初めて、高質の船舶を造ることができる。

船主、オペレータのニーズにマッチした船舶を建造していくためには、単に造船所の技術を向上させるだけではなく、資材メーカー、舶用機器メーカーや関連産業との連携が欠かせない。

?D.新規需要の創出

2005年以降、楽観的にみた場合でも造船需要は明らかな下り坂になる。そのため、従来の船舶建造需要を補うものを開発する必要がある。

一つは?Cで上げた新たな船種への取り組みである。

もう一つには、多角化の取り組みである。

さらに、造船関連の技術・ノウハウが活用でき、今後において新規需要が期待される分野としてメガフロートがある。これに取り組み、その建造の仕組みを構築することによって、今後の新しい需要を切り開いていくことが求められよう。

?E.経営体制の強化

造船業並びに舶用工業は需要の波が大きく、これに耐えうる経営体質を築くことが必要である。各社とも、経営のスリム化等対応を図っているが、今後においてもその取り組みが必要である。

さらに、多角化の必要性もかねてより指摘されていたが、実っていない。舶用工業の一部には、長期的な取り組みにより、舶用部門の比率を低下させ、成功を収めている事業者もある。需要が好調な今こそ多角化について方向性を明示すべきである。

 

 

 

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