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第9章 四国地区造船業・舶用工業の将来像

 

四国地区の造船業・舶用工業は特定地域に集積し、地域経済に貢献してきた。今後においても、楽観は許されないながら、基本的には各社の自助努力で状況を打開していくべきである。企業規模の差によってその将来像は大きく異なろうが、多くの事業者にはそれを実現する力が備わっており、一定の業績を挙げ社会的役割を果たしていくことが期待される。しかしながら、造船所・舶用事業所単独での問題解決にも限界があり、従来の枠組みを超えた新たな対応も求められる。

これらを踏まえて、四国地区造船業・舶用工業取り組むべき課題として、?@造船業の体質改善、?A設備の近代化、?B労働力不足への対応、?C技術高度化、?D新規需要の開拓、?E経営体制の強化の6点を挙げることができる。

 

1. 今後の方向性

 

(1)内外の環境

a)国内外の競争の激化

造船業は受注産業であり、市場の変動により大きく左右される。前回昭和57年のビジョンに掲げられた項目のいくつかが実現しなかったのも、一つには市場の波に翻弄されてきたという点が大きい。船価も需給関係や為替レートにより非常に上下するため、造船所としてはコントロールできず、コストダウンに努めるものの、利益も結果としてもたらされるものでしかない。需要量も全くコントロールすることができない。内航船の場合は、船腹調整制度があるものの、むしろ需要構造の変化に見舞われている。

今後においても市況に依存する状況は続き、しかも内外の競争環境は一段と激化する。

基本的には、船のサイズにより造船所の「すみわけ」があるが、そうした構図もなし崩し的になくなることも予想される。

 

 

 

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