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(5)充実・強化すべき点

一方、次の点で他の地域に比べると弱い。

a)大手からの技術移転

四国地域には、大手造船重機メーカーの造船所は1カ所しか存在せず、これらからの技術移転を通じた高度化が図られにくい。大手造船・重機メーカーとの提携関係にある造船所においては、人材の派遣や仕事のあっせん、生産システムの指導等を通じて技術力の向上が図られている。技術の移転においては、技術指導もさることながら、技術を有した人材の移転による効果が注目されている。大手企業からの派遣・出向のみならず、退職者の受入れ等により、「目に見えざる資産」として技術やノウハウが実質的に伝播される。

「技術」を公的な財産としてわが国造船業全体の立場から、大→中→小へと広げていくことが望まれよう。そのためには、人の移転によることが難しいのであれば、他の仕組みの構築が望まれよう。

b)高等教育機関

四国には、「造船」に関連する学科を持つ、大学・短期大学・高等専門学校はない(高知県立須崎高校には造船科がある)。むしろ、広島市、長崎市、広島県木江町等にある造船関連の学校の卒業生が、四国地域の造船業の中堅として活躍している。その意味では、他地域へ技術者教育機能を依存している。

表の通り造船工学を学科として持つ大学は、国公立6学私立2校の計8校あり、そのうち4校が瀬戸内にある。これを含め、次表の海事関係の学校が四国並びに瀬戸内圏にあり、これらとの連携も強化していく必要があろう。

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