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第7章 メガフロートへの対応

 

新たな海洋空間利用、船舶建造技術の応用として注目されている「メガフロート」について、アンケート等をもとに分析した。その結果、四国地区の特に瀬戸内沿岸地域は自然的・社会的・経済的条件ともにメガフロートの建造・設置に適している。

アンケートによれば、メガフロートの機能・特質についての評価は高く、関係業界や地域の活性化への影響についても、おおむね肯定的に評価されている。利用方法についても、多くのアイデアが寄せられている。そこで、四国地区において3つの利用案を想定し、仕事量への効果等を試算してみた。

四国地区においては、メガフロート建造の技術的能力は水準に達しているが、複数の造船所が共同で建造に取り組んでいく体制作りがこれからの課題となる。今後、「技術懇談会」(仮称)を設置する等、取り組みに向けての活動を始動させることが必要である。

さらに、メガフロートの建造・設置において障害となる事柄も見えてきた。細部の技術的問題解決や法整備については、中央ベースでの開発・調整によるが、他工法と比較した建造費、耐用年数、環境への影響等についてもさらに調査を進め、地域社会のメガフロートに対する評価を高めていく必要があろう。

 

1. 浮体式海洋構造物取り組みの意義

 

(1)研究開発の動向

メガフロート(超大型浮体式海洋構造物)は、沖合域に新たな都市空間を創造する浮体式海洋構造物で、従来の埋め立て等の工法にない特性を有する工法として提唱されている。

実用化に向けて、平成7〜9年度の3カ年で研究開発が進められており、平成8年7月には神奈川県横須賀沖で世界最大規模の洋上接合実験が実施され、長さ300メートル幅60メートルの実証浮体モデルが完成している。

研究開発目標(平成7〜9年度)

開発目標:

総合目標:数km規模、100年耐用の超大型浮体式海洋構造物実現のための総合システム技術を確立する。

開発目標:

?@超薄型浮体(深さ/長さ比1000分の1の規模)の浮体設計解析技術の確立

?A500ha規模の浮体構造物を3年程度で完成させる洋上施工技術を確立

?B100年耐用保証システム及び陸上設置施設と同等機能を有する保証システムを確立

?C流況・生態系の環境評価システムの確立

実証目標:

300m×60m×2mの大型浮体実証モデルを活用して、

?@高精度の浮体ユニット洋上接合技術、防蝕用新素材施工技術などの実証

?A大型浮体モデルの設置後の流況変化や生態系への影響を計測・評価

?B各システム技術の検証

資料:メガフロート技術研究組合

 

 

 

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