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内航船腹調整の先行きがはっきりとし、平成9年後半の厳しい状況から脱却すると思われる5年後においても、平成8年実績の8割にも満たず、10年後においても、平成8年の水準に戻るにすぎない。このため2割ないし3割の設備余剰が見込まれている。

 

(3)中小造船所数

a)中小造船所数

わが国の中小造船所の総数について、平成9年9月(この時期には買上等詳細未定)に実施した実態アンケートによると、81.8%と圧倒的に多数は「減る」との厳しい見通しを示している。「増加する」としたものは皆無であり、また「現状維持のまま推移する」との見通しは1割にも満たなかった。特に10,000トン以上の規模で「(中小造船所は)減る」との厳しい見通しが多い。

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b)中小造船所への対策

四国地域は中小造船業においてわが国有数の集積地となっている。しかも、先にあったように、80%以上の造船所が中小造船所が減るという厳しい先行き見通しをしていることから、中小造船所対策は極めて大きなテーマとなる。

仮に今後、中小造船所の撤退等の顕在化を想定した場合、求められる対策としてはアンケートによると「従業員の再就職支援」「土地・設備の買い上げ」「金融支援措置」が順に多く挙げられた。特に、規模の大きい造船所で、再就職支援等の労務対策を挙げるものが多く、規模によりスタンスが異なっている。中小造船所全体としてはスリム化することの必要性を認めつつも、造船業界からの従業員の離散をむしろ心配しているものとみられる。

 

 

 

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