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3. 兵庫県の中小造船業の重要性と果たすべき役割

兵庫県の中小造船業は、自航船の建造隻数において全国の8%、非自航船の建造隻数においては49%のシェアを有し、わが国の造船産業の中で大きな地位を占めている。同時に造船産業は、総合的組立型産業であるがゆえ、その周辺には舶用工業を中心に多くの産業が関係していることからその影響範囲は広い。

また、兵庫県内には神戸港をはじめとして特定重要港湾、重要港湾、地方港湾が数多く立地し、それらの港湾を利用する船舶の整備・修繕ニーズに対応するためにも中小造船業はなくてはならない存在となっている。このように、兵庫県の中小造船業は県内のみならず、わが国全体の産業において重要な地位を占めているが、先にも述べたように中小造船業を取りまく状況は今後ますます厳しくなるものと見込まれている。

もし、兵庫県の中小造船業が厳しい環境へ対応できず衰退することにでもなれば、内航海運や各種プロジェクトの推進に直接的な影響が生じるだけでなく、兵庫県の中小造船業を取り巻く関連産業及びわが国全体の工業出荷額や雇用等にもマイナスの影響が生じるおそれがある。

地球温暖化防止、物流合理化・コスト削減、モーダルシフトの推進等の課題に対して内航海運の果たすべき役割は大きく、それを支える中小造船業の役割もまた大きいといえる。21世紀に向けて中小造船業がその役割を果たし、社会・経済の活性化に貢献するためには、それぞれの事業者が厳しい現状、将来予測を踏まえて、策定したビジョンに基づいた経営戦略を立て、事業推進を図る必要がある。

 

 

 

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