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さらに、売上げの伸び悩みや収益率の低下による資金不足は、技術力の強化や生産性向上に必要な設備投資を抑制するため、ますます競争力が低下し、売上げが伸びないという悪循環をもたらし、経営を圧迫していくものと考えられる。

 

次に、兵庫県の舶用工業の問題点について見ると、舶用工業は造船業に依存するため先に述べた兵庫県の中小造船業における問題点と同じパターンとなっている。舶用工業事業者は経営上の問題点として、アンケートでは「競争激化による収益率の低下」、「従業員の高齢化、若年人材不足」、「売上げの伸び悩み」をあげている。また、製造・加工事業者では」「設備の老朽化、自動化・省力化の遅れ」もあがっている。

舶用工業の問題点と問題点を生み出している要因は図5-3.のとおりである。

造船需要の伸び悩みから、造船業界では価格競争が激化し、そのあおりを受けて舶用工業製品の価格も低下している。そのため、売上げの伸び悩みに加えて、収益率が低下し資金面での余裕がなくなり、設備投資や研究開発投資が抑えられ、生産性の低下や技術力の停滞等が生じている。

また、人口の高齢化に伴い、従業員の高齢化と若年労働者不足が生じており、これらの要因も生産性の低下と高コスト体質につながる。

 

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