2. 経営上の問題点
兵庫県の中小造船業を取りまく環境変化とアンケート結果の分析から、兵庫県の中小造船業における問題点は大きくわけると「売上げの伸び悩み」、「収益率の低下」、「技術競争力、コスト競争力の低下」になる。
アンケートにおいて、もっとも多くの事業者があげた経営上の問題点は「売上げの伸び悩み」であり、3年先の売上げ見通しについても5年前と比べて1〜2割減少したままの現状並みと回答した事業者が多かった。
次いで、「収益率の低下」を多くの事業者が回答している。これは、各事業者が売上げを確保しようとするため、競争が激化しているが、顧客ニーズにこたえるために低価格で受注することが多くなり、必然的に収益率が低下していると考えられる。これをもたらした要因はわが国経済の停滞(景気の停滞)による造船需要の伸び悩みであろう。政府のたび重なるテコ入れにもかかわらず景気は依然として停滞したままである。これに加えて、公共事業の抑制による海上工事量の減少や内航船の船腹調整事業の先行き不透明からくる新造需要の停滞、あるいは明石海峡大橋の供用に伴うフェリー隻数の減少による修繕需要の減少など、兵庫県の中小造船業の需要見通しは明るいとは言えない。