制振機構については、?の水線面積の変更シリーズとの組合せで、1質点系の装置の仕様の検討を行った。その結果、ROLL方向30%の動揺低減効果を持たせる制振装置を考案した。
また、係留機構については、構造が単純で安価なことからチェーン係留をベースにチェーンにダンピング効果を持たせるなどの新機構を提案し、効果の検証をしていく方針を決めた。一方、係留機構は、浮体の設置場所の自然条件、波浪条件によりパラメータが多く、設定条件の整理が今後の課題として挙げられる。
(4)シミュレーション基礎技術の検討
絞り込んだ形状の理論計算に基づき、理論を検証するための要素の抽出を行い、水槽実験の計画を立案した。また、実験は、減揺効果をビジュアルに表現することを前提にシミュレーション技術開発方針も合わせて立案した。
?水槽実験計画概要
水槽実験は、実機に対する縮尺を1/20とし、二次元部分模型により行う。実験対象の主要目は以下の通り。
a)基本船型
b)基本船型十矩形減揺タンク上載型
c)水線幅減少船型+SLO-ROLタンク型
d)水線幅減少船型+制振装置
?シミュレーション開発方針
基本方針として、上記の数パターンの計算結果を水槽実験に基づき整合ととり、その計算結果をコンピューターで視覚的に表現する方法でシミュレーションシステムを構築した。
本年度の研究成果として、浮体の単体の動揺でROLL方向の加速度を30galに抑える動揺制御型構造物の開発の目処がついた。次年度以降理論計算の検証を行い、今までにない動揺制御型浮体構造物の開発に取り組む所存である。
この研究を通し、安全で快適な浮体構造物の実現に向けより一層努力をしていきたいと考える。
最後になりましたが、本年度の研究は3年間の研究のスタートの年度であり、方針決定が、本研究の全般に影響する大切な年であった。委員会においては、活発な意見・助言をいただき、大変熱心に御指導していただきました。高木委員長をはじめとする各委員の皆様に厚くお礼申しあげます。