日本財団 図書館


11. まとめ

 

本年度は、揺れない浮体構造物のコンセプトを決定するため、?国内外の関連する要素技術の調査分析、?動揺制御型浮体構造物の検討、?シミュレーション基礎技術の検討を行った。また、委員会より本研究を行う上での揺れの低減のニーズについて調査するよう指導を受けアンケート調査を行った。

調査研究は、広島大学高木教授を委員長とする「揺れない浮体構造物検討委員会」を設置し研究の指導・助言を得た。

以下に検討結果を記す。

(1)揺れない浮体構造物についてのニーズ

浮体構造物が比較多くある瀬戸内海海域で浮桟橋を利用している船会社及び所有者である港湾管理者を対象に浮体の揺れに対してどのような認識を持っているかアンケート調査を行い、得られたデータを分析した。

?揺れに対しての低減のニーズは十分あるといえる。

?浮体設置場所の自然条件は、波高が0.5m程度の場所がほとんどである。揺れが気になる浮体規模は大型の物より、比較的小規模の600m2以下のものがほとんどである。

?揺れの弊害については、人の乗降、荷揚げ作業など人の行動に支障をきたす事象がほとんどである。また、揺れは、浮桟橋への船の離岸・着岸時、近くを船が航行した時など船に起因する物がほとんどである。

?所有者よりは、使用者側の改善ニーズが高いといえる。

(2)国内外の関連する要素技術の調査分析

?浮体形状(没水部形状)、?制振装置、?係留機構の国内外の既存特許及び文献の調査を行い、その各々について整理を行った。

(3)動揺制御型浮体構造物の検討

上記の調査した既存技術及び新規アイデアを発案し、係留された浮体構造物の減揺効果に期待出来る形状、制振機構について試計算を行い減揺効果が期待できる没水部形状を3つに絞り込み、絞り込んだ形状について、規則波・不規波による動揺シミュレーションを行った。その結果、加速度限界を30galとした場合、波周期4〜6秒で明らかな低減効果が得られ、浮体の限界波高が引き上げられることが期待出来る結果となった。

?水線面積変更シリーズ(水線面積を出来るだけ少なくする。)

?矩形減揺タンク上載シリーズ(減揺タンクを屋根の部分に組込)

?SLO-ROLタンク+水線面積変更

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION