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・塔の変位の加速度は、重力加速度の1.5%(約15ガル)に制限している。(この加速度は、90%の人がかすかに揺れを感じる程度のものである。別紙の図1参照)

・制振装置は2カ所に設けられている。一つは一次モードに対するもので、塔頂より10mの位置に塔芯の周囲にケーブルで吊り下げられた165,000リットルの水タンクで、鋼製の環型構造物である。これには等間隔に8個のショクアブソ-バーが設けられていて、シングルの振り子の原理となっている。もう一つは二次モードに対するもので塔の中間位置にあり、これも同じく環型のコンクリートマスであり、7個のショックアブソーバーを備えている。(制振装置の構造については図2参照)

・二つの制振装置の設置により、ダンピング効果は1%から1.2%に増加した。(制振装置の設置による最大加速度の低下は図3参照)

設計荷重は風荷重で、風速は約50m/sである。

地震に対する検討も行われており、動的性状が異なるので問題ないとのことであった。

2)シドニータワー(シドニー)

?制振装置の現地調査概要

一次モードと二次モードの二つの制振装置を実際に視察した。エレベーターで塔頂まで上がリ一次用水タンクを見た後、中間点の二次用ダンパーまで歩き、塔内を降りた。一次用水タンクは振り子式のため、振れによりタンクと吊りケーブルの取合い構造の空隙に動きが現れるが、調査した日は約60mm程度芯がずれていた。

3)サンクチュアリーコウブ(ブリスベン)

?サンクチュアリーコウブの概要

サンクチュアリーコウブは、ブリスベンの南約30kmに位置し、沼地のような河口を利用して開発されたところで、浮桟橋、マリナー等が多数利用されている。

?浮体構造物の概要

サンクチュアリーコウブを中心に、浮体構造物の構造形式、動揺制御方式、係留方法、揺れの程度等の調査を行った。

サンクチュアリーコウブの浮体構造物は、ヨット等に使用する大規模マリーナ用と個人家屋向小規模係船岸の二種類に分かれている。

大規模マリーナ用は数百隻対応の設備で、多柱式の浮体式係船岸であった。(写真1参照)また、個人家屋向けの係船岸は、5m×2m程度と規模が小さく、係留方式も2本柱(杭)による半固定式がほとんどであった。(写真2参照)

その他、マリーナミラージュにあるスポーツ又は観光用の桟橋は、杭式係留(4隅杭、又は端部1木杭)で規模は小さい。(写真3参照)

浮体構造物の揺れの程度については、調査区域はいずれも穏やかな川又は水郷に近い地形であり、しかも好天でほとんど無風であったため観測することはできなかった。また、航跡波による揺れも認められなかった。

 

 

 

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