7.2.5 まとめ
(1)浮体の動揺(ロール)を低減するための天秤型のTMD(動吸振器)を提案した。
(2)浮体の海水を含む有効マスに対し、0.3〜0.9%程度の付加マスを持つ上記TMDにより、13〜27%程度の動揺(ロール)を低減できる目処が得られた。ただし、TMDの効果については、水槽実験による確認が必要と考えられる。
(3)対象とした浮桟橋は、鋼とコンクリートの合成構造であり、TMD設置による重量増加に対しては底版を鋼構造とすることにより、およそ400ton程度まで対応可能である。
(4)本提案のTMDの構成部品(コイルばね、オイルダンパー、軸受等)は、既に多くの実績を持つものであり、耐久性についても問題は無いものと考えられる。ただし、浮体内部は、湿度が高く、夏期には高温になることも想定され、定期的なメンテナンス(1回/年程度)が必要と考えられる。
(5)TMDをアクティブ化したアクティブ制振装置(付録C参照)も考えられるが、動力を必要とすること、その効果を得るためにマスの動きを大きくする必要があり、狭い浮桟橋内での使用は困難であること等から、パッシブな制振装置であるTMDが最も適していると考えられる。