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6.4.2 検討方針

 

一般的に浮体構造物は沿岸域に設置されるケースが多く、各海域の環境特性等を考慮に入れ係留方式が選定されている。

しかし、現行の設計指針では、定常外力に対してのみ考慮すれば良いことになっており、動揺時の係留の安定性を考慮した例は余り多くない。それは、動揺計算が複雑なため、計算技術が追いついて行かなかったという時代の背景があった。

そのため、適正な係留がなされたとはいえない構造物も見受けられる。

現在では一般に、水深が20m以上の海域ではチェーン係留、20m以下の海域では、ドルフィン、杭式のような係留方法が採用されている。

しかし、浅海域の係留は、杭、ドルフィン等の工程構造物を構築する必要があり、施設建設が大がかりになる。最も安価な係留方法としては、チェーン係留があるが、浅海域(水深10m)の係留は難しいとされている。浅海域においては、チェーン係留におけるチェーンのカテナリーが、潮の干満差及び浮体の動揺により、その変位量が吸収出来なくなるためである。

そのため、本研究では上記の技術課題を克服するため、変位の吸収という点に着目し、浅海域に適用出来るような新型式の動揺制御型チェーン係留を中心に研究を進める。

 

 

 

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