に関しては、ピッチング、ローリングとも3°以下程度と考えられる。
専門家によれば、経験時間2,500時間程度で、初めて船上へリデッキへ着陸する場合、上記の値は限界に近い値との指摘がある。
従って、相当熟練したパイロットを対象とした許容値の設定には問題があり、今後、パイロットの熟練度、風の条件、動揺の周期及び上下動の量等に配慮して慎重に検討する必要がある。又、着陸後のヘリコプターの移動及び駐機を対象とした許容値についても、別途検討の必要がある。
なお、浮体式へリポートの設置が予定される我が国の沿岸域においては、大型(百数十米平方)の場合は運航制限となる動揺は生じないと考えられるが、小型(数十米平方以下)の場合には運航制限となる可能性があり、詳細な検討が必要である。
(2)浮体の乾舷
乾舷については波浪の越波、飛沫との関係で乾舷を決定すべきであるが、波浪と越波、飛沫の関係についての文献は見当らない。
港湾構造物においては、海岸保全施設ではその種類に応じて越波の許容値を設定しており、越波量の算定は既往資料又は模型実験等によるほか、越波量推定図表も用意せれている。又、港湾法(港湾の施設の技術上の基準・同解説(以下港湾基準と略す))では、著しい越波を阻止したい防波堤の天端高を有義波高の1.25倍と規定している。
浮体構造物においては、石油掘削リグの場合は、最大波高が甲板裏を叩かぬ高さに余裕を加えて乾舷を決めており、ポンツーンの場合は貨客をさばくのに適した高さが必要とされているが、通常は乾舷1m程度のものが多い。
従って、最も安全側に考えれば、浮体の動揺による沈下量に有義波高の1/2を加えた乾舷を確保すれば、著しい越波は起きないと考えられる。浮体の動揺による沈下量については、航路水深設定の場合、大型船は有義波高の1/2、中小型船は有義波高の2/3を見込めばよいこととなっており、簡便法としてはこれを使用することも考えられる。しかし、浮体の動揺と波の位相の関係については定型化し難い面があり、浮体の最沈下側に波の山が作用するケースは稀と考えられるので、当面の結論としては、模型実験又は数値シュミレーションにより、水面と浮体上面との関係を確認して定めるのが望ましい。
(3)浮体の規格
浮体式ヘリポートの着陸帯の大きさについては、航空法の規定に従い使用予定航空機の投影面の1.2倍以上とする必要がある。ただし、浮体であることの制限表面等の有利な面と、ミスオペレーションの場合周囲が海面である不利な面があり、今後の検討課題とする。
基本施設の付属設備としては、使用条件を考慮して、係止金物、安全ネット、安全手摺及び安全通路等必要な設備を設ける。