しかし現在、関税がEUで統一されたこと、あるいは課税対象価格はGIFであるものの、CIF最終向地でなく、CIF First Place of Entry in EUであること(すなわち、EUに最初に入った地点までのCIF価格。例えばロッテルダム経由ミュンヘン行の貨物の場合、 課税対象運賃(Freight)はミュンヘンまででなく、EUに入った地点であるロッテルダムまでであり、ロッテルダムからミュンヘンまでの運賃は含まれない)から、T-2輸送は制度上は残存しているものの、実務的にはほとんど利用されなくなっている。
2.T-1輸送
T-1輸送は税関の輸送許可が必要であるが、その申請はアクチヤルキャリア、輸入者、フォワーダーいずれも可能である。申請者は、ボンドを積むことで申請業者としての資格を得ることができ、税関により簡便にT-1の輸送許可取得が認められる。
しかし、T-1輸送は着地側および発地側において、次のような措置がとられなければならない。
?@着地荷主はT-1申告書を着地税関に提出。
?Aこのうち着地片は着地税関により発地税関に返送。
?B発地税関は着地片を入手して、EU内貨とするための正当な手続きがなされたものとみなす。
もし、T-1の着地片を発地税関が入手できない場合、その貨物は着地で正当にEU貨物となったとみなされず、発地側で関税や付加価値税が徴収されるが、この場合の支払義務はT-1申請者が負うのがEUの規定である。
したがって、上記のような事態を避けるため、フォワーダーがT-1申請をする場合は、T-1依頼者より「事故の際は依頼者がその責を負う」といった了解を得ることが無難である。