1船舶原簿は、1船舶をもって構成するのであり、各船舶原簿は、これを編綴することなく、船舶の番号の順序により整理し保管する(手続42条ノ2・1項)。
(ア) 船舶原簿の様式(手続17条)(注) 船舶原簿は、?船舶番号その他の表示事項、?船舶の長さ、幅、深さ、?船舶の総トン数、?所有者、?登録の年月日、?記事の欄からなり、さらに船舶原簿の一部をなすものとして、共同人名簿がある。
(イ) 共同人名簿 船舶共有者が多数であって、船舶原簿の所有者欄内に全員を記載することができないときは、共同人名簿を作成し、船舶原簿には筆頭者(持分最大の者をいい、船籍港決定の場合の筆頭者の取扱と同様である)の住所、氏名又は名称、持分及び「外何人」と記載して、共同人名簿には筆頭以外の者の住所、氏名又は名称及び持分を記載し、かつ、その船舶の番号、種類及び名称を表記し、保管する(手続23条。共同人名簿は各般別に作成するのが原則である)。共同人名簿は、船舶原簿の附属書というべきである。
(ウ) 新船舶原簿用紙への移記 船舶原簿の記載欄の余白がなくなったときは(記載欄は5欄であるから、新規登録及び4回の変更登録で余白はなくなる)、現に効力を有する登録事項全部を新原簿用紙に移すことを要する。この場合に従前の船舶原簿の欄外に「第1葉」と記載し、その末尾の記事欄に「第2葉に移記」と附記し、また新船舶原簿の欄外に「第2葉」と記載し、その最初の記事欄に「第1葉から移記」と附記する。第3葉以下の取扱も同様である(手続28条)。
(注) 船舶のトン数の測度に関する法律の施行前に建造あるいは建造に着手した船舶については、船舶の長さ20メートルを基準として、測度に関する規程が異り、登録すべき事項に相違があり、様式が異なる。
(2) 閉鎖船舶原簿
船舶原簿は、抹消の登録がなされた場合(法14条、5条ノ2・4項、細則27条2項)、その記載された事項は朱抹され、閉鎖される。この閉鎖船舶原簿は、船舶原簿とは別個に、それに準じて整理保管する(手続42条ノ2・2項)。閉鎖船舶原簿に記載されている事項は、過去において効力を有していたものではあるが、現在の船舶原簿の記載に疑義がある場合や、過去の登録された事項が問題になる場合等には利用されるものであり重要な書面である。
(3) 船舶原簿見出張
船舶原簿及び閉鎖船舶原簿の整理保管の正確を期するため、管海官庁は、船舶原簿見出帳を調製しておき、船舶の登録をなすごとに、その船名の頭字により相当の部(イロハ順、50音順などによる)に船舶の番号及び名称を記載する。また、船舶原簿を閉鎖したときは、その見出張中の当該船舶の項に「閉鎖」と朱記する(手続42条)。
(4) 船舶番号配付簿及び船舶信号符字配付簿
管海官庁において船舶の登録に際して点附すべき番号及び信号符字は、あらかじめ運輸省から配付するのであるが(手続20条1項)、その配付を受けた書面(船舶番号配付書、信号符字配付書という)は、これを編綴しておくことを要する。これが船舶番号配付簿又は船舶信号符字配付簿であり、船舶に船舶番号又は信号符字を点附するごとに、これらの帳簿の該当欄にその船舶の種類及び名称を記載する(手続41条)。