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船舶の表示の更正の登記をなすべきである(船登規則1条、21条、船登手続22条ノ3、不登法63条、64条、65条参照)。

(2) 船舶の表示の変更と登録との関係

船舶の表示事項に変更が生じた場合には、船舶法に基づく変更の登録及び船舶国籍証書の書換を申請しなければならないが(法10条、11条)、この手続は当該事項の変更の登記手続に先行するものである。すなわち、その登録がなされなければ、当該変更事項に関する船舶原簿の謄本又は抄本の交付を受けることを得ず、したがって、その登記をなすことを得ないからである(船登規則21条ノ2参照)。

なお、その変更事項が船舶の総トン数に係るものである場合には、総トン数変更の登録の前提手続として、船舶所有者は船舶の総トン数の改測の申請をもなさなければならない。

(3) 船籍港変更の登記とその他の登記との関係

船舶所有権移転の登記がなされた場合において、新所有者の住所が旧所有者の住所と同一市町村であるときは、その住所地以外の市町村に船籍港を定めない限り、船籍港変更の登記をなすことを要しないが、他に船籍港を定めたときは、船籍港の変更の登記をしなければ、その後になすべき他の登記(所有権移転又は抵当権設定の登記など)の申請は、却下すべきであると考える(注)。

(注) 管海官庁において、船籍港の変更登記の前提として、船籍港の変更登録をなした場合には、その旨を変更前の船籍港の管轄登記所に通知することを要するが(細則20条ノ2)、かかる手続を要求するのは、この通知を受けた登記所が、登記簿の目録中当該船舶に関する部分の備考欄にその旨を記載し、その後において船籍港の変更登記申請を懈怠したまま、その他の登記の申請をなさんとすることを防止するためである(昭和32年3月27日民事局長通達民事甲598号)。

 

2. 登記申請手続

(1) 申請人 船舶の表示の変更又は更正の登記の申請人は、当該船舶の所有権の登記名義人である。

(2) 申請書の記載事項 一般通則にしたがうが、次の事項に注意すべきである。

(ア) 登記原因及びその日附 変更登記の場合にあっては、その変更の原因たる事実行為又は法律事実及びその事実の生じた日を記載するのであって、「改造」、「船名変更」、「船籍港移転」、「総トン数改測」等が登記原因である。更正登記の場合にあっては、登記原因として、「錯誤(又は遺漏)」と記載する。

なお、日附については、船名変更又は船籍港移転の場合は、管海官庁において船舶原簿に登録した日を記載すべきであり、また、改造又は総トン数の改測の場合は、実務上船舶原簿に登録した日を記載するものとされる(改造又は修繕をなした場合には、工事完了の日附か、改測を受けた日か、又は変更の登録がなされた日かの問題があるが、変更登録を受けた日とするのが実務上明確であろう)。

(イ) 登記所の表示 船籍港が他の登記所の管轄地内に移転した場合の変更登記の申請は、

 

 

 

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