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(カ) 製造地の管轄登記所の未登記証明書(船登規則16条2項)

製造中の船舶の抵当権の登記は、製造地を管轄する登記所においてなされるが、製造中の船舶の抵当権の登記をそのまま放置して、他の登記所において保存登記をなすことを防止する趣旨(船登規則37条参照)から、製造地の管轄登記所以外の登記所に対して保存登記を申請する場合には、製造地の管轄登記所の登記簿にその船舶に関する登記がなされていないことを証する書面(当該登記官吏が作成するもの。いわゆる未登記証明書)を添付しなければならないものとする。この証明書は、作成後3月以内のものに限られる(船登手続14条ノ4)。

船籍票船が登簿船になった場合における所有権保存の登記申請の場合には、未登記証明書に代えて小型船舶の船籍及び総トン数の測度に関する政令(昭和28年政令259号)の適用を受けていた旨の都道府県知事の証明書(船籍簿の謄本又は船籍票の交付を受けていたことを証する書面)を添付すれば足りるものとされる(小型漁船については漁船法に基づく漁船登録票の交付証明でよい。昭和25年9月22日民事局長通達民事甲2546号)。

(キ) 所有者の住所を証する書面

会社等の法人の場合は、(エ)又は(ケ)の書面として会社等の登記の謄本又は抄本が添付されるから、特別に住所(主たる事務所)を証する書面を添付することを要しないし、(オ)の日本人証明としての住民票の謄本又は抄本(船登規則18条)を添付したときもこの書面を添付することを要しない。

(ク) 船舶明細書(船登手続15条ノ2)

所有権保存の登記の登録免許税の課税標準たる船舶の価格を登記官が認定するための資料として(船登手続15条ノ2前段に掲げる他の登記の場合にも提出を要する)、所定の事項を記載した書面を添付する。この書面は、造船者の証明がなされていることを必要とする。しかし、造船者が既に存在しないこと等によりその証明が得られない場合には、その旨を疎明すれば足りるものと解する(管海官庁が証明しうる事項についてはその証明でもよいとされている)。

(ケ) 代理人により登記を申請するときは、その代理権限を証する書面(前出参照)

(5) 登録免許税の納付

船舶所有権保存の登記の登録免許税額は、船舶の申請時の価格を課税標準として、1000分の4である(登録免許税法別表第1の第2号(一)参照)。

(注) 租税特別措置法79条適用船舶は、軽減措置が講じられているので留意を要する(前出参照)。

 

2. 登記の実行

船舶の所有権保存の登記の実行は、一般原則によりなされるが(船登規則8条、不登法51条1項、2項等。なお、船登手続24条、不登規則48条ノ2)、船舶登記用紙の表題部に船舶の表示事項(船登規則7条1号〜4号、15条に掲げる事項)を記載することを要する(船登規則17条)。

なお、製造中に抵当権の登記をなした船舶についての所有権の保存登記を了した場合において、船籍港が他の登記所の管轄に属するときは、遅滞なく登記用紙及び附属書類又はその謄本

 

 

 

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