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(3) 旧商法(明治23年法律第32号)第2編中、船舶の章は、船舶の国籍証書の授受、国旗掲揚の権利・義務及びこれらの事項に関する刑事制裁のような行政法規がその大部分を占めていたが(注)、これらの事項は、特別法に編入することが適当であるとして、現行商法(明治32年法律第48号)の制定に際してこれらは除外された。しかし、同法第5編(現在は第4編)―海商編―の実施について、これらの事項は密接な関係を有していることから、早急に特別法を制定する必要があった。

以上のような理由から、明治32年に至り遂に船舶法の制定をみたのである。その後数次の改正を経て今日に至ったが、その間における主なる改正は、船舶国籍証書の検認制度の制定である。

(注) 旧商法は、明治14年ドイツ人ロエスレルが起草したわが国最初の商法典であり、明治23年4月27日に公布された。3編1,064条からなり、その第2編には海商の規定をおき、その第1章に船舶の国籍、国旗に関すること、総トン数の測度、登録及び船籍証書等に関する規定を設けた。しかし、法典論争により、事情急を要する商法の一部、すなわち、会社、手形、破産の規定のみが明治26年7月1日から施行された。

その残りの規定も明治31年7月1日から施行されたが、明治32年6月16日現行商法の実施により破産編を除き1年を出でずして廃止された。また、一方、旧商法の船舶の国籍等の規定を実施するため、明治23年10月9日船籍規則が公布されたが、同規則も旧商法の施行延期に関連して遂に実施を見るに至らなかった。

しかし、これらの規定は、船舶法の制定について大いに意義があった。

 

3. 船舶法の内容及び関係法令

船舶法は、明治32年3月8日法律第46号として公布され、同年6月16日、すなわち、商法施行の日から施行されたのである。船舶法は、日本船舶の資格、日本船舶の特権、船舶の総トン数の測度、船舶の登記及び登録の義務、船舶国籍証書の授受、船舶の国旗掲揚及び航行の条件、船舶の標示義務並びに小型船舶の船籍及び総トン数の測度に関する規定の命令への委任等を定め、さらに附則において、船舶登記に関する法律上の根拠及び商行為を目的としない航海船に対する商法海商編の準用を定めている。

船舶法の附属法令としては、船舶法施行細則(明治32年逓信省令第24号、法41条に基づき細則を定めている)及び船舶法取扱手続(明治33年逓信省公達第363号、官庁内部の事務取扱手続を定めている)並びに小型船舶の船籍及び総トン数の測度に関する政令(昭和28年政令第259号)及び小型船舶の船籍及び総トン数の測度に関する省令(昭和28年運輸省令第46号)がある。また、船舶法に直接関係を有する法令として船舶のトン数の測度に関する法律(昭和55年法律第40号)及び船舶のトン数の測度に関する法律施行規則(昭和56年運輸省令第47号)並びに船舶登記規則(明治32年勅令第270号)及び船舶登記取扱手続(明治32年司法省令第35号)がある。

 

 

 

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