b) 越流条件
防波堤については、水位がその天端高を越えた場合、次式の本間公式で流量を計算する。
但し、
h1 | : | 天端高を基準とした堤の前の水深 |
h2 | : | 天端高を基準とした堤の後の水深 |
C | : | 流量係数(0.35) |
C' | : | 流量係数(2.6XC) |
である。
C) 開境界条件
計算にあたっては、計算領域を限定する必要があるので、外海に境界が生ずる。外海の境界は開境界とし、津波は境界で反射せずに、進行波として通過するものとする。
2.2.5 波源条件
地震断層モデルを規定する断層パラメータから解析的に求められる地盤の弾性永久変位量を波源条件として与え、その変位は一定速度で時間τかかってηに達するものと仮定する。よって、水深hは以下のように与えられる。
ここで、地盤の変位量はMansinha and Smylieの式を用いる。但し、断層深さが0kmの時は、便宜的に深さを0.01kmとして計算を行っている。
但し、
h | : | 時刻tにおける水深 |
h0 | : | 地盤変動前の水深 |
t | : | 時間 |
τ | : | 地盤変動時間 |
η | : | 地盤変動量 |
である。
2.2.6 空間格子の細分化
津波は水深の浅い沿岸に近づくにつれ、波長が短くなってくる。計算精度を保ち、かつ地形を精度良く再現するためには格子間隔を細かくする必要があるが、格子間隔を細かくするにつれて計算に多くの時間をとることになる。
よって、震源域を含む広域の計算には格子間隔を広くとり、沿岸に近づくにつれて順次細かい格子で区切る手法をとる。ここでは、格子の細分化数を少なくするため、格子間隔を順次1/3ずつに細分化するものとする。