(3)海上交通安全法 (昭和52年6月1日改正)
3. IBCコード(International Bulk Chemical Code)の概要
(危険化学薬品のばら積み運送のための船舶の構造及び設備に関する国際規則)
3.1 IBCコードの概要
タンカーの大型化,油以外の有害物質の海上輸送の増大,沿岸国の海洋環境保護に対する関心の高まり等を背景として危険化学薬品運搬船等に対する規則の必要性が認識され, IMCO(政府間海事協議機関)において審議された結果,1971年に「危険化学薬品ばら積み船構造設備規則」がIMCO決議A212(V11)として採択された。しかし,この規則は国際条約としては成立しなかった為、各国の任意適用となっていたが,1983年6月にロンドンで開催されたIMOの48回海上安全委員会において「1974年SOLAS条約の1983年改正」が決議MSC.6(48)で採択され,この中でIBCコードが国際条約として強制化された。IBCコードの本文は決議MSC.4(48)の附属書として採択され,「1974年SOLAS条約の1983年改正」とともに1986年7月1日からケミカルタンカー(総トン数500トン未満の船舶も含む。)等に適用されている。
なお,ここで述べているIBCコードの他に「MARPOL IBCコード」がある。これはIBCコードを海洋汚染の観点から拡大したコードであり,1987年4月6日から実施されているが,電気設備に関する要件はIBCコードと同じである。
3.2 IBCコード本文
本文は19章からなり,電気に関しては「第10章:電気設備」に規定してある。
・10.1 「総則」
本章の規定の他に「1983年SOLAS改正」の第II-1章D部の電気要件も同時に適用し,また,「IEC Pub.92-502:タンカーに対する特別規定」を参照するよう規定されている。
・10.2 「危険場所並びに機器及び配線の型式」
・10.3 「接地」
・10.4 「個々の貨物に対する電気要件」
詳細は第17章「最低要件一覧」の中に記載されており,「IEC Pub.79:爆発性ガス雰囲気用電気機器」に基づき個々の貨物における電気設備の分類(温度及び爆発等級)が規定されている。
また,次の各章にも間接的に電気に関係する記述がある。
第3章:船舶の配置
第7章:貨物温度制御