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常に北が勝つ。

漢民族が中国の真ん中にいるわけですが、漢民族は水田の稲作民族ではないのです。ですから、日本人とはちょっと毛色が違うのです。日本人とよく似ている中国人は揚子江から南の江南系統の人たちだとお考えいただければいいです。

肉と米、米プラス魚がワンセットになります。一方は肉、一方は米プラス魚という食の体系が世界の大きな食体系の流れだとお考えになって結構ではないかと思います。

 

先に進ませていただきます。それでは、肉を食う方がまともなのか、米を食う方がまともなのか、どちらなのか。同じ種類の人間だ、本物はどっちなのだという質問が出てきます。これはまことにもっともな質問で、その問題に答えると、こういうことになると思います。

 

(OHP1 動物食の緯度別変化)

上の図をごらんください。

ここに北緯六十度、五十度、四十度とゼロまであります。これは地球を緯度で輪切りにし、0度のところが赤道になります。上が北緯、下が南緯になります。

この中で、各国ごとにこのゾーンの中に入る国をまとめまして、とっているカロリーのうち動物性の食糧からくるカロリーと植物性の食べ物からくるカロリーの比率を計算してみたわけです。そうしますと、緯度の低いところ、熱帯に近いところの国では、動物性の食べ物の比率が一一・六%でした。そして、それがだんだん北へいきますと、一四・四%、一六・七%と上がっていきまして、北緯六十度になりますと、ほぼ四〇%になります。これは平均値ですから、もっと高い国もあるし、低い国もあるのですが、いずれにせよ非常に高いところまであります。ごらんになっていただくとわかりますが、北にいくに従って、緯度が高くなるに従って、動物性食品に対する依存度が高くなることがわかります。南緯も全く同じことです。我々の遠い祖先は、北から南へきたのではなく、南から北へと動いたのです。

百五十万年前、猿人が原人に変わったときには、原人は大体アフリカの東、今のエチオピアのあたりで発生したといわれているわけですが、あそこには動物性たんぱくなんていうのはなくて、ともかく植物が繁茂していた時代のようで、植物性の食べ物がふんだんにあったのです。

ですから、人間は、やはり植物性の食べ物をとるような体つきになっていたわけです。皆さんが洋服を脱いで裸になって鏡の前に立つと、こんな体でよく百五十万年も生きてきたな、素手ではネコ一匹捕まらぬわけです。ネコの方がずっと速いし、ネコと格闘したら、とても人間に勝ち目はない。棒やいろいろ武器があるから捕まるのであって、素手ではとても勝ち目がない。その人間が生きてきたのは、植物性の食べ物に依存してきたからです。

ところが、この図でおわかりのように、次第に植物性の食べ物から北へ北へ分散していく。そして、動物性の食べ物をとり始めるわけです。動物性の食べ物をとる利益といいますか、メ

 

 

 

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