食としての海洋資源
財団法人日本鯨類研究所顧問
長崎福三
長崎でございます。
きょうは食として、海洋資源としてのお魚の問題をお話しせよということでございますが、一時間ちょっとの時間では、とても大きな問題はお話しいたしかねますので、きょうは食糧資源として見たお魚を生産する立場からでなしに、消費をする立場から見てみたいと思っております。
それにしても、かなり大きな問題でございます。きょうは、私の勝手で、少し簡単な切り口をつくってみたい。その切り口をご説明することでご理解願いたいと思っております。資源問題としては、極めて重要な問題でございますので、その切り口を見ていただいてご判断いただきたいと考えております。
一本の大きなブリをもらったとします。それを食卓の上に乗せるまでに料理するのはかなり手間がかかるし、細工も道具立ても知識も必要だと思うのですが、きょうは、ブリの肉をお刺し身にして食卓に出すところまではとてもいきませんので、せいぜい三枚におろすぐらいのところでご勘弁を願いたいと思います。
我々は、雑多なものを食べているわけですけれども、国内的にも、外国へ旅行する場合もそうですが、旅行をしているときの楽しみの一つは、やはり全く新しい食にめぐり会うことだと思います。
食べ物としては、日本料理の方がはるかにおいしいのですけれども、外国へ行って、その土地土地の食べ物に出くわすことは、いろいろな意味で極めて重要なことのように思います。
世界中全く同じものを食べているところはないわけで、日本の中でも、正確にいえば、北海道と九州では食べているものが違うわけです。
例えば、東京都○○区○番地で隣り合わせている家があります。私の長崎という家と、お隣に田中という家があったら、その田中家と長崎家の食文化は全く違うわけです。それほど食というのは個人的なものだと思います。ですから、全く同じものがあるわけがない。顔が違っているように、食文化、食べているものはそれぞれあるわけです。
それを考えると、非常に広い世界で、一体どのぐらいの食文