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場合によっては有効な、低温であることを直接利用できるものだと思います。

(スライド38)

これは、いろんな実験をするために、普通であれば水温を上げるとすると暖房、もう一つは下げようとすれば冷房、いずれもエネルギーを使ってやるのが普通の常識でありますが、ここでは海水の温度を表層水とか、深層水などを活用して、省エネルギーで水温を調節することができるようにした装置です。

(スライド39)

いろいろな製品をつくる上で、淡水化も今後かなり大切なものとなると思います。深層水を利用した食品などが高知で今つくられてきておりますが、その中の一つは、こういう逆浸透膜を使って、深層水から淡水を得る方法もかなり実験されてきているところでありまして、こういう普通の蒸発方式に比べると、かなり効果がある方式が見つかってきているようであります。

(スライド40)

深層水を活用した「土佐深海」というお酒もあります。

(スライド41)

深層水の利用は、雑菌が少なくて、それからつくった淡水の中にもミネラルが含まれるといったことが、こういう製品が次々とアイデア商品として考えられた理由であると思います。

 

(スライド42)

深層水の特性をN、T、Cと書いて表現しています。「N」は「Nutrients(栄養)」、「T(水温)」、「C」清浄特性というわけであります。表層の水に比べてみますと、表層水はNは少なくて、Tは高くて、Cも低い。それに対して、深層水はそれぞれ栄養が多くて、温度が低くて、きれいであると、明らかに性質の大きな違いがあるわけです。

今までの深層水利用の実験は主として、この特性の一つを一つの目的のために使って行ってまいりました。それをさらに冷熱利用とかと組合わせて単体の目的だけではなくて、総合的に利用することを考えようとしております。そこで消費される効果、例えばこの冷熱利用を考えますと、まず、水質は必ず温度だけ上がるのです。表層水に近づく。それを今度は冷水性の動物の飼育にしますと、さらに温度は上がって、汚れも少し大きくなります。それを今度は藻類の培養にいたしますと、この植物にとって必要な栄養がそこで消費されて、温度も上がり、汚れも大分ふえてきます。こういうふうに表層水にかなり近づいてくるわけであります。

もともと表層水と違う深層水をそのまま海へ戻してしまうことは、むしろ海洋環境に変化をもたらすわけであります。これは、環境問題を考える上で、一種の汚染といえないわけでもない。したがって、なるべくそういう影響がないような状態にまで有効に活用して、戻してやることを今後は考えていこうではないかというわけです。次の研究課題は、こういったカスケード方式、あるいは「多段式利用」といっておりますが、そういう方式で進めていきたいと考えているわけであります。

最近の深層水利用の成果、並びに今後の研究の方向についてご紹介いたしました。

海洋科学技術センターに海洋深層水利用研究会という研究会がございます。先ほど申し上げました富山のシンポジウムはこの研究会の最初の活動でございました。もしご興味がおありの方は、海洋科学技術センターの方にご連絡くだされば、早速こういう案内の冊子をお送りして、ご参加いただければと思います。

 

 

 

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