はクロロフィルaですが、これはいわゆる植物プランクトンの量と思っていただければよろしいかと思いますが、このコンター(等値線)は水温であります。大島に近いところで一九度という水温のエリアがありまして、その周りを二〇度、二一度、二二度という分布をしておりますが、その中、外側で、いずれもその量が低くなっています。
そういうところに比べまして、海水の表面温度が低くなっているところは、窒素も植物プランクトンもともに多いことがわかります。水温の分布とあわせまして、栄養に富んだ低温の海水が大島の東側の沖合でわき上がってきていることがわかるわけです。
(スライド12)
これは、この周辺での一つの資源、てんぐさの採取の状況を調べてみたのです。
(スライド13)
そういたしますと、これは伊豆大島の南にある三宅島で実際に調べたものですが、東側の湧昇域、それから反対側の非湧昇域でてんぐさの生産を比較してみました。昭和四〇年から五六年にかけて、その生産量を比較してみますと、いずれも湧昇域でのてんぐさの生産量に対しまして、湧昇域を持たない反対側では一〇分の一以下ぐらい、生産量の比で見ますと約一〇倍違うということがわかりました。
(スライド14)
深層水をうまく活用すれば、植物プランクトンから海藻まで、生産性をかなり高めるポテンシャルを持つことがわかりました。最初に深層水をくみ上げて、いろいろな基礎実験を始めたのは、高知県の室戸岬沖でありまして、現在もさらに高知県と研究を進めているところであります。
日本中で深層水の活用ができそうな地域、つまり、海岸から五キロメートル以内ですぐ二〇〇メートルを超えるような海を持っているところを抜き出してみますと、北海道から先島諸島のところまで、至るところにあります。現在高知県のほかに、富山県も既に始めておりまして、沖縄県が二〇〇〇年を目指して、深層水のくみ上げ施設の建設をこれから進めようとしております。静岡県、三重県、北海道といったところがさらに深層水活用の構想を固めつつあるといわれております。
(スライド15)
高知の室戸岬沖で、私どもと高知県が共同で現在実験を進めております。そのきっかけは、先ほどの一九八二〜三年に伊豆諸島での実際の海の状況を調べたことですがその後、一九八九年ごろから実際に取水管を三五〇メートルぐらいのところまで入れて、それをポンプでくみ上げて、建物の中でいろんな実験が行われてきたわけです。
これらの研究は、科学技術庁の科学技術振興調整費でスタートいたしましたが、陸上の研究施設、土地、建物につきましては、高知県が提供してくださり、現在に至っておるわけです。
(スライド16)
これが実際に三五〇メートルの深さから海水をくみ上げるためのパイプを入れている作業中の風景です。このパイプは非常に頑丈にできているもので、大口径のリールから繰り出されて、