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(スライド1)

これは、このごろよく目にする宇宙空間から見た地球のスライドでありまして、インド洋から大西洋の部分、南極大陸が載っております。いずれにしろ、地球が水の惑星であるということをいかにも納得させる青く輝く地球、それを縁取る白い雲がすべて水でありまして、「水の惑星」といわれるゆえんであります。この中で、海の平均の深さは前にもお話ししたような気がしますが、何と三八〇〇メートルといわれています。つまり、平均で四〇〇〇メートルだとします。そうすると、有光層といっているのはおおよそ二〇〇メートルですので、約五%が有光層で、残りの九五%は、こういう定義をしますと「深層水」といえるわけであります。したがって、その深層水をうまく活用するのは非常に重要なことであるといえるわけです。

(スライド2)

これは、先ほど申し上げましたように、気がついてみれば、実は我々人類は非常に大きなエネルギーを使い、資源を使い、それが地球のかつての環境を大きく変えるような段階にまで至ったのであると納得するには、こういう図もあるいは有効かと思います。

一万年から二〇〇万年前ぐらいと書いてありますが、人口の増加は図のようです。一八五〇年前後の世界の人口は一〇億ぐらいですが、この産業革命が、地球の環境問題にとっては一つのエポックメーキングな出来事でして、それまでの人口増加は、ある程度の傾斜を持って二〇〇万年で一〇億になるといったふえ方であったわけであります。それまでに、もちろん原始狩猟の時代から計画的な農業が導入されて人口がふえてきたというのも一つの大きな変化ですが、この産業革命によって、我々が使う消費エネルギーも格段に上がり、人口増加もまさにウナギ登りに上がってきたわけであります。

これらのことが、先ほど申し上げたエネルギー問題であり、人口問題であり、食糧問題であり、さらに世界のCO2による温暖化が懸念されるという推移が、これによって明らかにされるわけです。

(スライド3)

こういう中で、私たちがこれから解決していかなければいけない問題ですが、深層水を利用することを考えるにおきましても、海洋生態系の根幹をなす食物連鎖を見ておきたいと思います。太陽光エネルギーが差し込む約二〇〇メートルよりも浅いところで、まず植物プランクトンあるいは海藻といった植物が繁殖いたします。これは光合成による基礎生産、あるいは第一次生産と呼ばれています。

それらを食糧とする動物プランクトンなどを介して次々と大型魚の類になり、それを人間が利用することになります。もちろん我々は貪欲ですから、魚類だけでなくそのほかのもの、海藻なども直接利用しているわけであります。太陽エネルギーによって生産されているこれらの植物あるいは動物の大部分はここで消費されるわけです。約二〇〇メートルから下では、どちらかというと、直接利用できるような形のあるものはほとんど

 

 

 

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