を及ぼしてきていたことに気がつく時代が参ったわけであります。これももちろん、地球に関するいろんな学問的な研究、気象情報とか海洋汚濁とか、そういうものの中からおやっという変化に気がついたわけであります。
私どもの生活を考え直してみましても、資源小国といわれながら、我々がこの日本の社会を維持していくためには、工業用の資源、こういうエネルギーをいかに確保するか、あるいは空港の問題にいたしましても、陸上から離れた空港が必要とされるような空間利用の制限といった問題をたくさん抱えているわけでありまして、海洋開発に期待されましたものは、これらの難問の答えを海から得ていくというわけです。
さらに、世界的に見ますと、人口問題と食糧問題は表裏一体の問題を抱えているわけであります。この食糧問題にいたしましても、単なる採る漁業から管理する漁業、さらに栽培漁業といったような、これからご紹介いたします深層水の利用におきましても、これらの観点からの問題に取り組んでいるわけであります。今後はさらにもっと積極的にバイオテクノロジー、あるいは微生物等の利用もバイオテクノロジーの一端ということになりますが、これらの問題を解決していく必要があるわけであります。
実は、これからご紹介いたします海水、特に深層水の利用からいたしますと、一つは海水が持つ温度差を一種のエネルギー源として使う冷房の問題、あるいは先ほど申し上げました食糧問題、それから海水そのものが非常にきれいであることから、生物の利用あるいは食品といったような、かなり包括的な、海水そのものが相当のポテンシャルを持っていることになるわけです。
これらの問題は、このたびの深層水の利用の方からいたしますと、深層からくみ上げました水をまた海へ戻すわけでありますが、その際に環境保全についての配慮も必要であり、これについても新たに研究をスタートさせようとしているわけであります。
(OHP2)
今申し上げましたような問題を多少漫画的に表現いたしますとOHPのようになります。この深層水の利用はこれからスライドで話を進めていきたいと思いますが、深層水は一体どれぐらいの深さのことをいうのかという問題につきましては、太陽の光線が差し込まない、つまり、植物プランクトンが繁殖する有光層よりも下の無光空間、真っ暗やみの空間と考えるといいと思いますが、そういうところの海水を利用しようということであります。
そのほかに、海水の利用からしますと、先ほどの図の中にありましたような、例えばウランをとるとか、あるいは鉱物資源、例えば金とか銀もとれるといった話をよく聞きますが、水の中に含まれているいろんな資源を取り出そうという考え方もあります。さらには、ご承知の方も多いかと思いますが、いわゆる波が持つエネルギーを利用する「浮体式」とか、あるいは「海岸固定式」など、波の持つエネルギーを利用して電力を得るとか、あるいは将来は静穏海面を利用しようとか、いろんな考え方があるわけであります。
そういうものを取り出すというよりは、先ほど申し上げたような深層水が持つ特性を明らかにして、それを私どもの生活にフルに役立つような使い方を追求していこうということになるわけであります。