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国際海上輸送における諸問題

 

社団法人日本船長協会専務理事

澤山惠一

 

ただいまご紹介いただきました社団法人日本船長協会、澤山でございます。

本日の私の話はかた苦しい話ではございませんので、トラックチャートをお示ししながら、海賊等の話をしてみたいと思っております。

先程、高瀬先生のお話にもございましたが、一般商船と漁船とには、大なり小なり利害が相反するところがあります。

一九六〇年代、例えば、西アフリカ航路就航時、西アフリカ沖の沿岸で数多くの漁船と出会います。別に航路を邪魔している訳ではないのですが、操業に注意をして航海を続けます。アイボリィーコーストのアビジャン港とか、ガーナのテマ、及びタコラジ港では、近くで捕れたマグロを冷凍チャンバーにいっぱいに積み込み日本に運びました。また、東アフリカ、ケニアのモンバサ港、西アフリカ、ナイジェリアのラゴス港で上質のエビを日本に運んだものでした。

我々にとって一番大きな問題だったのは、夏の北太平洋の航海でした。この時期は、サケ・マス漁業の流し網の時期であり、濃霧で何も見えない中、北米航路に就航していた船舶運航者にとっては至難の業ではありませんでした。国連海洋法条約によりサケ・マス漁業が禁止となり、一番喜んでいるのは、北米航路の船乗りではないかと思います。

また、一九六〇年代、多数の鯨に航海中出会いました。しかしながら、乱獲されたためか、鯨と出会う回数が段々減ってきました。一九九〇年代に入ってからは、鯨との出会いが多くなり、とても嬉しくなりました。私の客船時代、毎年船客の皆様と一緒に小笠原へ鯨を見に行きました。十二月から四月の間、ホエールウオッチングと称して、とても楽しい航海ができました。

ただ、船との衝突はないのですが、残念ながら、鯨との接触はあり得るのです。特に北米のサンタバーバラ海峡では(ロスアンゼルス沖)分離通行帯(一方通行)となっており船とは行き交うことはないのですが、注意することは、鯨との出会いです。

イルカは動きが素早くて航海上問題はなく、船客も我々船乗りも、イルカとの出会いはとても楽しいものです。

 

 

 

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