って、ご承知のとおり、いろいろな国内的な政治状況もあって、今鋭意やっているところです。これはちょっといろいろな意見があると思いますけれども、私は、資源保存は必ずしも線引きしないとできないことではないと思います。例えば、日本の場合は、近隣国との関係で考えると、先ほど申し上げたように、ストラドリング・ストックでも六三条一の、すなわち公海には出ていかない、日本と韓国、あるいは日本と中国、あるいはその三者、その二〇〇カイリ内にいるようなものが、例えば日本海に関しては当てはまると思うのです。もちろん線引きして、それぞれやればいいのかもしれないけれども、六三条一の規定に該当するものが、例えばイカとかサバとか、そういうのがいっぱいいるでしょう。それを線引きをしても、やっぱり資源を適切に保存するためには、お互いに協力し合わなければいけない。
だから、必ずしも線引き云々がどうか、資源保存管理をうまくやるかどうかというのは、どっちかができなければ、要するに線引きができなければできないというものではないのではないかと私は思っています。
質問
食材の確保が今マーケット・エコノミーにゆだねられている結果、日本が購買力を持っていて、クロマグロに対する需要が圧倒的に強くて、世界からクロマグロを全部集めている事情があるやにお聞きしております。
その場合に、今クロマグロについて、いろいろ統計資料にアクセスを有しておられる漁業室長として、本当にクロマグロは絶滅に瀕している種族という実感をお持ちではないでしょうか。もしそうだとしたら、これは迂遠かもしれませんが、栽培漁業、近畿大学で例えばマグロを養殖するという努力、研究が続けておられるように聞いておりますけれども、それか一つのブレークスルーになるのかどうか、私見で結構ですので、教えてください。
答
もうちょっと時間があれば、マグロのところで話そうと思ったのですが、まさにクロマグロは、いろいろな意味でかなり注目を浴びている。とにかくすごい値段なわけです。今幾らかということは僕もパッと出てこないですけれども、トロ一切れ、寿司にすると何千円。それがいいか悪いかは、食文化とかいろいろな問題があっていえないのですが、世界的にクロマグロの資源が減っている、特に大西洋で減っているというのは、おっしゃるとおりです。
他方、これで絶滅か云々となると、私は、漁業だけで絶滅ということはないのではないかなと考えています。その証として、十年ぐらい前からかなり厳しい措置をとっていまして、特に大西洋の場合、先ほどちょっといいました大西洋まぐろ類保存委員会でかなり厳しい措置をとって、漁獲量をぐんと抑えております。そういったことで、徐々にではありますが回復傾向にあることは、科学的に認められている現状でございます。
クロマグロは、確かに大きくて生長は遅いけれども、何億個もの卵を産んで、そういったライフサイクルでやっている