日本財団 図書館


のように、国連の条約の中に、閉鎖海の場合は、沿岸国が周りの国々と協力しなければいけないとなっていますから、日本の場合は、幾つかの閉鎖海というか、海に囲まれて、どういう協力を図ろうとしているのでしょうか。

去年は、日本は排他的経済水域を設定しましたけれども、まだはっきりした線引きがされていないので、例えば漁業のあらましを見ますと、日本の主権的な権限を行使できないと書いてありまして、結局、主権的な権利を行使できなければ、排他的経済水域の意味も多少疑問にされるでしょうから、結局その主権的な権利を行使するためには、やっぱり一つの最終的な線引きが必要なのか、それとも線引きがなくても、主権的な権利を行使できるのか、ちょっと教えていただけますか。

 

ちゃんとした答えになるかどうかわかりませんけれども、まず一点目、二〇〇カイリは沿岸国の主権的権利が及ぶ、それはまさにそういうことですが、その中でも、主権的権利や利用する権利はあるけれども、保存する義務も当然あるわけです。そういったものを考えて、もちろん二〇〇カイリ内で、漁業先進国のことを今いっておりますけれども、自分が利用する権利があると同時に、それを資源として保存していく義務があることは事実だと思います。

もう一つ、私の最後の方でいったのは、多くの途上国が自分のところの二〇〇カイリ内に、もちろん権利はあるのですが、漁業技術の問題とかで使えないわけです。そのために代表的な例は、入漁料をとって外国にとらせる。それもけしからぬという議論はよくあるのですが、私はそうは思わなくて、彼らは使う能力がないのだから、日本が一定の入漁料を払ってとることは、そういった島国にとっても、一つの行き方であると思います。それと同時に、そういうことをしながら、彼らの漁業を発展させるような手伝い、協力もしていいのではないか、そういったことの観点から、保存と有効利用は達成できる。

特に、仮に一定の漁業が発達しますと、必ずしも管理能力はないものですから、多分にとり過ぎてしまうようなこともあると思うので、そういったものを防ぎつつ、秩序ある発展を助けていくことで、二〇〇カイリも、あるいは二〇〇カイリの外も、法律の議論ではないですが、やっていけたらいいのではないかなという気がします。

実は、余りいうと怒る人がいるかもしれませんけれども、アメリカにしろ、カナダにしろ、二〇〇カイリは自分のものになった。さあ漁業だ、漁業だとやって、漁業の投資が先行したり、資源保存管理が追いついたりしなくて、特定の資源を乱獲してしまったという、ここ十何年かの歴史は実はある。認めない方もいらっしゃいますけれども。

他方、今のロシアなんかも、若干そういった面がなきにしもあらずなので、そういったことのないように、自分の二〇〇カイリであって、自分が権利を持っていても、やっぱり義務も持つので、それを将来のためにうまく使っていこう、保存していこうということではないかと思います。

線引き云々の話は、ちょっと日本の周辺は特別な海域であ

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION