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ていくことになりますけれども、先ほど申し上げたマグロ類に関する太平洋を除けば、一応国際的な枠組みはできているのが現状でございます。

 

ここで、必ずしも法的な議論ではないですが、一つご紹介しておきたいのは、最近、先ほどプレコーショナリー・アプローチなんていう話が出たのですが、漁業に対して、極端な環境保護、あるいは場合によっては、環境保護というより動物愛護といった観点からのいろいろな問題点も出てきているのを簡単に紹介させていただきたいと思います。

これはさかのぼれば、今でももちろん大きな問題ですけれども、まさに鯨から始まった話です。いわゆる漁業、あるいは海の魚あるいは海の生物をとることが環境保護に逆行する話だ、環境保護の観点からよろしくないという議論が、若干科学的根拠を持たずに、あるいは感情的な考えから出てきているという状況が、最近特に目立つようになっております。

鯨というのは、昔から、いろいろありまして、ここでまた鯨を話すと、それだけで長くなっちゃいますので控えますが、同じようなことが一般の漁業に生じつつある、例えばグリーンピースとか、いろいろな過激団体の売名行為だとか、いわゆる金稼ぎの手段だという議論もありますし、実際その観点がないわけではないと思いますけれども、彼らは鯨で一段落したので、いろいろなものを出してくる。

その最たる例が、先ほど申し上げた八九年に起こった流し網の話です。実は、当時、瀬崎専務理事が国連大使で大活躍していただいた話です。魚そのものをとるのが必ずしも悪いというわけではなく、いろいろな混獲がある。混獲というのは、ターゲットにしない海の生物をとる。その中には、例えば特定の鯨類とか、あるいはオットセイとか、海鳥とか、そういうことがいて、そういうことが非常にダメージングだというような話がありました。

流し網はそういうことで、結果的に国連決議という形で、公海での大規模な流し網はやめましょうということで決着したわけです。それだけに限らず、マグロはえ縄漁業とか、あるいはトロール漁業といったものでも、対象でない生物、具体的には鳥ですとか、一種のマリン・マンマル、あるいはカメ、サメといったものを混獲するということで、いろいろ批判がある。

また、伝統的にとっていた魚、例えば先ほど申しましたマグロ、特にクロマグロについて四、五年前に環境保護団体というか、動物愛護団体が、ワシントン条約で制限しようとしました。絶滅に瀕した、あるいは瀕するおそれのある野性の動植物の取引を制限する条約です。つい最近、アフリカのジンバブエで締約国会議がありましたけれども、そこに持っていく動きもありまして、それはいろいろ話し合って、そういうことにはならなかったわけですが、そういった動きがあるというのが、ここ十年ぐらい前から始まっている話があるわけです。

他方、先ほど出ました国連環境開発会議、九二年のUNCED、環境サミットでも、そういう流れで、例えば漁業関係者は大変心配したのですが、結果的には、もちろん先ほどいった、まさに国連協定をつくるもととなったような内容もあったのですけれども、そこでの一番重要な結論、一番という言い方もど

 

 

 

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