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しれないけれども、特定の漁業機関に入っていない。だから、国際的な規制は法律的には受けないで操業するという問題が非常にふえておりまして、そういったことを防止する意味で、非常に重要な規定になります。

もっともそういった国が、この国連協定に入ってくれないと、法的な効果を及ばさないのですが、こういった考えが国際的になってきたというのは、漁業国としても、それなりに評価すべき話だと思います。

あともう一点は、取り締まりでも国際協力しましょう。基本的には、公海でやる取り締まりは、伝統的に、今もそうですけれども、旗国主義、要するに、その船の船籍国が取り締まり、あるいは必要に応じて違反があれば罰則をするということになっております。この協定でも最終的な裁判管轄権と申しますが、違反があった場合に処分する権限は旗国に残していますけれども、取り締まりの段階では、お互いにほかの第三国というか、外国の船の取り締まりも行う。具体的には、疑わしい船がいたら、乗船して検査して、違反があったら、それを「摘発」という言葉がいいかどうかわかりませんけれども、違反の証拠をそろえて船籍国に引き渡す。船籍国が必ずしもすぐ引き取らない場合には、もうちょっと乗船を継続し、近くの適当な港まで引っ張っていくことまでできるような規定があります。拿捕という言葉をよく使っているのですが、この協定では、あえて「拿捕」という言葉は使ってないですが。これは、若干日本の漁業関係者の方でも、嫌だなと思われている方はいらした、あるいはまだいらっしゃるのかもしれません。

ただ、この考え方も、実は海洋法条約ができる前から、特定の漁業条約ないし漁業機関では取り入れられていた話なのです。例えば、先ほどちょっとサケ・マスで出ました、日本が戦後一番早く結んだ日米加の漁業条約は、まさにお互いの締約国同士で取り締まりを受けて、違反があったら拿捕までできるという規定があったものですから、これ自身は全く新しい考え方ではないのですが、これが全世界に適用され得る規定でございます。

ただ、この取り締まりだけでないのですが、ここが特に一番重要なところかもしれませんけれども、基本的に実際にどういうやり方をするかは、それぞれの地域の特性とか漁業の実態とかに合わせて、国際的な漁業機関ないしアレンジメントが決定する方式でやりなさいと規定されております。

あと紛争解決とか途上国の問題とか、改正条項とか、いろいろありますけれども、その辺は必ずしも今回のお話では余り触れる必要はないと思いますので、この協定の概要の説明はこれぐらいにさせていただきたいと思います。

 

そうすると、こういう協定ができて、できる前から実際活動していた世界の漁業の実態や、国際機関のあり方はどうだろうか、あるいはどうなるであろうかです。何度も申し上げているとおり、国連協定の考え方の多くは、既にいくつかの国際機関で取り入れられております。

まず、二つの地図を見ていただきたいのですけれども、下の方、ストラドリング魚類を対象とする国際機関は、どういうものがあるか。とりあえず代表的なのをここに三つ挙げさせていただきました。

 

 

 

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