いう理屈から、公海の漁業をもっとちゃんと規制する、管理をしっかりさせようということが規定されまして、そのための国連会議を呼びかけるようなことがアジェンダ21に併せて規定されまして、それを受けて、九二年あるいは九三年ぐらいから、この協定をつくる作業が国連で始まったということでございます。
経緯が長くなってしまいましたけれども、この協定そのものは、漁業の分野にしては結構大きな協定になりまして、五〇条あって、それに附属書が二つついているといったものです。実は、若干個人的な考えですが、必ずしもそれまでにというか、今もその状況は余り変わっていないですが、既存の国際機関のやっていることをそんなに大幅に変えようとするものではないというのが、ちょっと荒っぽいですけれども、今差し当たっての私の考えであります。
基本的には、いわゆるストラドリング・ストックと高度回遊性魚種は、国際機関ないし「アレンジメント」という言葉を使ってますが、取り決めに基づいて、関係国で協力して管理しなさいと規定しているわけです。
それで、今までいわゆる条約なんかに出てこなかった幾つかの概念は、全くなかったわけではなく、それなりにやったのですが、まず一点は、予防的措置、これはプレコーショナリー・アプローチといいますけれども、そういったものを法制化した。要するに、海の中のものでよくわからない場合があるだろう、あるいは正確にはわからないのが普通だ、だから、とり過ぎを起こさないように、少し厳しめの措置をとりなさいということです。漁業資源の保存管理の原則の一つとしてそれを入れているわけです。
それは、先ほど申しましたように、二〇〇カイリ内にも、要するに適用される。沿岸国も自分の二〇〇カイリ内について、プレコーショナリー・アプローチをとる義務を負うことになっております。
もう一つの保存管理の原則ですけれども、ストラドリング・ストックにしろ、高度回遊魚にしろ、二〇〇カイリ内、公海域、要するに保存管理措置の一貫性を確保するということを規定しており、その意味で、沿岸国にもそれなりの制限あるいは義務を課していることになります。
次に、特に漁業国にとって重要なのは、国際機関ないしアレンジメントに入らない国、非加盟国、あるいは加盟してなくて、国際機関がとる保存管理措置の効果を害するような操業をする船、非加盟国でも保存管理措置を守ることは、いろいろなところのプラクティスでやっておりますけれども、そういった国際機関の措置を守らない国、非加盟国であって守らない国は、公海で漁業をやってはいけないという規定があります。
これは極めて重要な話で、最近、漁業の世界、特に高度回遊魚マグロたちの世界ですが、非加盟国、それもいわゆる便宜置籍船、商船の方には常識かもしれませんけれども、本来は日本の、あるいは漁業先進国である台湾とか、台湾を国といってはいけないのですが、韓国とかいったところの船、あるいはそういったところの人が船を例えば中南米とか、そういう国に船籍を移して、そういった国は当然、当然ということでもないかも