デイヴィスIOS所長はダブルデイDFO漁業海洋科学局長と同じく日加共同研究プロジェクトの重要性を強調した。特に観測研究施設の共同利用など興味深いものである。最近完成したROVは海洋観測の行動範囲を深海に向かって拡大する手段として有用である。研究船の航海日数の交換を円滑にする事でIOSが保有する砕氷能力を持つ船舶を北極海の研究に利用す可能性を示唆した。
フリーランドDFO海洋科学・生産量研究部長からは表層域での海水中での小気泡の挙動を記録する装置の開発と係留系の説明があった。係留ブイを効果的に使用する事で悪条件の重なる高緯度地域での海洋観測は効率化される。
研究専用船は保有するが、質・量共にBIOの方が優れている様子であった。
1.5 環境省(Environment Canada)
環境省は他の政府機関およびNGOとの協力によって持続的開発に対する国民の潜在能力を引き出す事で在る。宇宙空間、陸上および隣接海域、生物系の環境保護・保全が主な職務である。1971年6月の発足後、カナダ全土に亘る環境策定に 着手し公的な開発計画において初期段階での適切な対策を取る事によって環境汚染は著しく減少する事が出来る事を証明した。この結果は1989年、1990年と連続して起った二つのダム建設計画に対する連邦裁判所の判決に影響を与え、1992年の環境策定基本法(The Canadian Environmental Assessment Act)となって実を結んだ。
カラウ環境省海洋環境部環境保護課長によれば環境省は漁業法に基づき沿岸と海洋環境について汚染防止の強化および有害物質と海洋投棄の規制の二点に責を負っている。前者は魚類に対して有害ないかなる物質の投棄を限界値を付して数量規制している。規制値は最低限の全国規制であり州の事情によりこれより厳しい規制を地方レヴェルで行なえる様になっている。環境省は沖合いの石油プラットフォームからの汚染を所管してはいない。投棄物と汚染防止効果の監視は産業界の責務とされているが、政府機関はそれら活動の監査や評価を実施する。また、評価研究を通して産業界の実質的な努力の効果を検証する様努めている。
環境省海洋環境緊急事態科学部フィンガス部長によれば同省の環境技術センターでは主として流出油の監視と除去を円滑に行う為の研究と分析に従事している。環境技術センターはBIOとの協力で、プリンス・エドワード島北東約60kmの沖深さ約70mの地点にC重油約4300トンを積載したまま沈