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可能性は無いとした。Oil-based mud(OBM)の海洋投棄は許されているがOBMによって生じたカッティングスは油含有量が15%以下の時は許されている。カナダでは排水に関する政策としては産業界に対して自己規制する事を原則としている。セイブル島での環境監視にはイガイ(二枚貝)を使っている。

 

DFO東海支所科学部ベリヴォウ技師は係留型のCTD、曳航式プロファイラー(MVP)、光学式プランクトン計測器(OPC)などにつき説明した。これらの設計の基礎思想は特別の船上施設を持たない一般船舶(特に小型漁船)でも海洋観測が容易に行なえる様にする事である。特に、後二者は商品化され実用に共されている。MVPは前出のクラーク部長も言及した様に14ノットの船速で曳航しながら500mの水深までのプロファイルを観測しようと言うものであるが、実際は12ノットで水深115m、5ノットで水深180mでの観測に成功しているとの事である。いずれにしても、MVPにしろOPCでも測定部分は既存の測定器を組み合わせ、扱い易く、簡便にする事に腐心していた。ラップトップに代表される小型計算機の普及によりセンサー、電子部に手間暇を掛けるより計算機側にフィルターなどの負担をさせようと言うのが基本的設計思想であり、手間を掛けるのは耐圧容器、曳航索、信号ケーブルとの事である。

 

1995年4月に沿岸警備隊(Canadian Coast Guard: CCG)とDFOは併合され砕氷能力を有するLOUIS S. ST. LAURENT号を始め船腹数は増大したが、船舶の運航は未だにCCGとDFOの二本立ての状態と見受けられる。当研究所はDFO所有の海洋研究船を7隻保有しており、最大のものはHUDSON号(4847トン:1962年建造)であり、他に800トン級のものが4隻あるが総じて船令は古い。年間の航海日数は夫々250ー300日程度である。

 

1.4 海洋研究所(Institute of Ocean Sciences: IOS)

 

IOSは北部太平洋および北極海を管轄するカナダ西海岸で最大の研究機関であり、日加科学技術協力協定に基づく日加プロジェクトを通し我が国にも馴染みの深い研究所である。特に、海洋環境の上では我が国の国立環境研究所の研究グループとのShip-ofーOpportunity Project(SOOP: 便宜観測船計画)を通し交流が盛んである。IOSでの研究は社会が必要とする海洋に関する正確で時節を得た知識を提供する事にあるとしている様に研究活動に比重が高い様に感じられた。

 

 

 

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