日本財団 図書館


スワンソンDFO生息地管理・環境科学局長はCOAの実施に当り同局が担当大臣への政策助言を展開し提案する管理グループであり、漁業法に基づく淡水・海水中の魚族生息地を物理的・化学的汚染から保護する責務を負っていると説明した。化学的投棄物の規制は環境省との連携で実施され現場は地方政府が責を負っている。特に注意を払っている分野は製紙工業と製錬工業からの汚染である。沖合いの石油・ガス産業による汚染問題に対する権限は地方政府に移管されている。同局は関連した科学研究も管轄しており結果はCOAを実施する上で科学的根拠として役立っている。

 

1.3 ベドフォード海洋研究所(Bedford Institute of Oceanogaphy: BIO)

 

1962年に創設されたBIOはその地理的条件から北部大西洋および北極海において海洋物理学、海洋生物学、海洋気象学、および海洋環境学の分野の研究を中心にその活動を展開している。海洋物理学の研究はWMOが主宰するWOCE(World Ocean Circulation Experiment: 世界海洋循環実験)の計画に強く焦点を合わせているもは当然であろう。クラーク海洋科学部々長によると「BIOのSOOP計画による観測活動はそれ程活発では無いが、毎年4回XBTオペレーションの航海をNOAA(米)との共同観測をバルティモアとアイスランド間で行なっている。」との事であった。海洋観測の効率化の為に独自に開発した曳航式のXCTDにより海洋学上の主要パラメターを航走中の船上より観測する事を試みている。14ノットで航行中の船舶上で水深500m迄の連続観測を目指している。また海底に設置したカメラによる石油、特に掘削にともなう流失油のモニターを確立すべく機器の開発が進んでいる。この装置は広く応用が可能であり底棲生物の観察にも利用されている。ノヴァスコティア沖合いのジョウジ・バンクではハイドロカーボン・ドリルの環境および社会・経済的な衝撃に関する基礎データの収集が行われている。科学部長は「プランクトン関連のルーティンの業務は英国の機関と契約で外注している。プランクトンの同定や月例報告も契約の一部である」とした。

 

DFO東海支所科学部・ゴードン博士は「現時点ではセイブル島近海の小さな油井だけであるが・・」としながらノヴァ・スコティア沖の石油資源の開発の可能性を示唆した。有望な海底非生物資源としてテッラ・ノヴァ(ハイベルニア近海)の石油とスコティアン・シェルフ(ノヴァ・スコティア東南沿岸の6ヶ所が有望)との事である。しかし、漁業への影響を調査するために西暦2000年まで開発は延期されている。彼はカナダではオイル・プラットフォームからの汚染はヨーロッパと比しても格段に厳しく規制されており汚染の

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION