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1.2 漁業海洋省(Department of Fisheries and Oceans: DFO)

 

海洋漁業省はカナダの海洋に関連する経済、環境、科学および淡水魚生息地に関する政策ならびに研究計画を所管し、カナダの水産資源の保護と持続的利用およびカナダ国民の要請に対し効果的で環境と調和する海洋関連サーヴィスを行う事に責任を負っている。水産資源の管理および保護、海洋および淡水域の環境管理と保全、海洋および水中資源の理解、海上安全の確保、そして海上貿易・商業および海洋開発を促進する事を当面の優先事項としている。したがって、カナダの経済水域内およびその近傍における水産資源の管理、保全および開発が主要な責務である。他方、国際的には自国の水産業界の保護と同時に漁獲高の向上の確保を目指している。科学面では水産生物学、海洋学、魚族生息地、海洋環境などの各種データの収集に携わっている。これらのデータを機能的に活用する事によって海・淡水資源の持続的な利用と安全な海上交通に関して適切な助言をしている。DFOは研究機関として大西洋側にベドフォード海洋研究所(ダートマス、ノヴァ・スコティア州)および太平洋に海洋科学研究所(シドニー、ブリティッシュ・コロンビア州)を有しカナダの海洋学研究を推進している。

 

ダブルデイDFO漁業海洋科学局長は西太平洋での海洋気象と黒潮研究の分野で日本と共同研究を展開したいと表明した。この海域の海洋条件はカナダ太平洋岸のみならず全土の気象条件に密接な関係を持つ。将来大型ブイによる黒潮域の終端部である中部太平洋での海洋観測は色々な意味で有用である。北部太平洋で日加協力の大型の海洋研究がなされれば世界的な影響力を持つ事となろう。カナダはこれまでもIOCに協力して全地球海底地形図(GEBCO)を完成してきた様に積極的に国際協力を展開したい。GOOS(全世界海洋観測システム)の構築に向けて協力したい。先に述べた北部太平洋での日加共同の海洋観測などはひとつのモデルとして世界に提起出来るものとなるであろうが、慎重に立案する事が重要であろう。同局上級顧問ホランド博士は今後の日加環境協力パネルはカナダ側の議長はデイヴィスIOS所長となる旨の発言があった。現在26の協力プロジェクトが認められているが、このうちの二つはSOOP関連のものである。彼はこれからのSOOPの方向としては協力して呉れる篤志船(VOS)の負担を軽減する為に器材の軽量化、自動化を企る事と係留式や自走式ブイなどの船舶に頼らない方法に進むであろうと指摘した。

 

 

 

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