はしがき
委員長 奈須紀幸
財団法人日本海洋協会の中に「海洋政策調査研究委員会」が設けられ、この委員会が中心となって昭和58年度から昭和60年度までの3年間、欧米先進国における海洋情報の収集と提供の状況について、委員が視察を行ない、5回にわたって報告書をまとめた。これらは同協会の出版物として刊行されてきた。
ここで、3ヶ年にわたる第1期の"海洋情報の収集と提供"に関する実状調査の活動を終了した。
昭和61年度から平成2年度にわたる5ヶ年は第2期の活動として大平洋地域に調査の重点を移した。近隣諸国との国際関係がわが国として、ますます深まりつつある当時の状況にかんがみ、当地域の実状調査に可及的速やかに対応することが各方面から要望されていた実状を踏まえての判断であった。
昭和61年度はインドネシア・マレーシア、昭和62年度はオーストラリア・パプアニューギニア、昭和63年度は中国、平成元年度は韓国、平成2年度はヴィエトナムの調査を実施した。
平成3年度から平成7年度にわたる5ヶ年は第3期の活動として同委員会が改組され「沿岸海域利用・管理調査研究委員会」として、沿岸海域の利用と管理の分野において、わが国及び諸外国が直面している対外問題について実証的に調査を行うとともに、対応の方途をさぐることとした。
平成3年度においては国外調査に関し「英国の海洋汚染の法制」について、国内調査に関し福岡市(博多湾)の「海洋環境の汚染に関する法制度」について調査した。
平成4年度は調査研究のテーマに「沿岸海域の外国船の漁業活動に伴う諸問題」を取り上げ、国外調査に関しオーストラリア・フィジー・ソロモン・ニュージーランドを、国内調査に関し北海道海域について調査を実施した。
平成5年度の調査研究のテーマとしては、国外調査に関し「地中海の科学調査に関する実績・利用・国際間調整」についてフランス・モナコ・イタリアを、国内調査に関しては「瀬戸内海の科学調査と沿岸域の利用」とし、神戸市、呉市、広島市、大阪市、高松市、松山市、菊間町を調査した。
いよいよ国連海洋法条約は発効した。
平成6年度は海洋構築物の実状の調査研究を行う必要から、国外調査に関しアメリカ合衆国(サンフランシスコ・シアトル・ワシントンDC)を、国内調査に関し大阪湾について調査した。
平成7年度の国外調査は「沿岸海域における環境保全努力」という点につい