3.5 今後の課題
フィリピンの主要港湾の開発は大きくアジア開発銀行によるマニラ港の開発、世界銀行によるその他主要港湾の開発とに分けられる。これに外国政府の援助が時々加わって整備が進められてきた。主要港湾は、これら国際金融機関等の指導により開発が進められ、管理・運営が行われてきており、港湾整備は主要港湾を一巡したところといえる。その意味でみる限り、フィリピンの主要港湾は必要最低限の水準に達しているとみられるが、課題は決して少なくない。
それらのいくつかについて詳述すると以下のとおりである。
3.5.1 開発課題
フィリピンの経済発展は、1994年以降順調に伸びており、諸外国からの投資活動も活発化してきている。この経済活動を支えていく重要な基盤は運輸インフラであることは間違いないことである。
特に、海上交通手段の果たす役割はフィリピンのような多島国家において重要なものとなっている。
(1)国際貿易
国際貿易への対応は、まずマニラ港の開発を今後どうしていくかである。マニラ港の開発はまずアジア開発銀行によりコンテナ埠頭(MICT)の整備及び南港の改修が終了している。続いて、ICTSIがリース・コンセッション契約によりMICTの最奥部に第5バース(水深14.5m)を昨年、整備したところであり、さらに同スキームでその対岸にある北港防波堤沖側に埋立により第6バース(延長300m、水深14.5m)を整備する計画である。一方、南港においても、コンテナ専用埠頭として利用されているPier 5をBOTスキームにより256m拡張する工事が行われたところである。
しかしながら、これからも国を代表する国際貿易港としてそれに相応しい整備を続けていく必要がある。具体的には増大し続けるコンテナ貨物やバラ貨物への対応強化として埠頭や荷役設備の強化の他、背後交通、バックアップ用地の改善が挙げられる。首都圏周辺地域における開発の発展はバタンガス港の重要性を高めるものと考えられ、本港の外貿機能の強化も望まれる。
一方、フィリピン南部の中心としてセブ港の地位向上が図られつつあり、この結果として、マニラに一極集中している外貿機能が分散してくることが大いに期待される。セブ港の外貿機能は極めて弱いだけにその強化は緊急課題となりつつある。
(2)内航運海
今後のネットワークの充実を考えていく中で考えるべき事項としては以下がある。