?適用実施の諸条件2
世界的な動向として、バイオレメディエーションは海洋から土壌に重きを移す傾向にあるが、それは必ずしも経済的に理由のみよるものではなかった。たしかに、コスト面での不利も理由のひとつだが、海洋の場合には政治的な問題も大きいという。たとえば、地中海の場合には、地中海海洋条約といったものがあり、一つの研究機関の提案ではなく、国際プロジェクトとして発足させなければならないといった難しさがある。
?バイオレメディエーションの実施体制
しかしながら、エニリチェルケでは、海洋汚染に対してもバイオレメディエーションを選択オプションのひとつに入れ、すでに10年近く研究を続けている。そして、事故による油流出汚染に対しても、工業等による慢性的な汚染に対しても、異なるバイオレメディエーション策が取れる体制ができていた。
イタリアは、日本の本州に匹敵する半島部が地中海に突きだしている半海洋国で、日本とはちがった意味で、海洋汚染や海岸汚染はこの国にとってひじょうに重要な問題である。特に、アドリア海側(半島の東側)の海岸線は、ほとんど切れ目なく観光地や保養地が続くため、大きな油流出事故が起きると死活問題にさえなる。このため、アドリア海側は石油タンカーの航行が制限されているほか、アドリア海側には掘削用の海上プラットホーム(大半がガス田)も監視されている。
?バイオレメディエーション実施のためのプロトコル
アメリカのように企業がそれを成文化しようとうする動きがあるかどうかは定かではなかったが、それに準じるものはあった。
前述の地中海海洋条約の中に石油の海上輸送規定があり、その延長として、油流出事故などが起きた際の対処方法が規定されているとのこと。これは、各港湾ごとに装備すべき処理手段や処理方法を規定したもので、プロトコルに準じるものと言える。
5.8 その他の関連研究
(1)Bio FoulingとBio Corrosion
?Bio Fouling研究
EU(EEC)の研究プロジェクトの一環として行われている。海洋中・海水中の金属物質のFouling(汚染?)研究を基本とするもので、具体的には、原子力発電所が放出する冷却水の影響を測定するために海底に設置された観測機器の金属表面が、海洋生物によってどのように汚染されるかといったことを研究。特に放出されたエネルギーとの関係を研究。ある種のバクテリアは、漁業に影響を与えるばかりでなく、金属の表面に損傷を与える。