1990年油濁防止法に基づく研究開発プログラムは、連邦政府、州政府、地方政府並びに石油の輸送、取り扱い、貯蔵に関した民間企業や学界の専門家を総動員するものである。石油汚染の深刻な結果は既に呈示されている。提案されたプロジェクトは船舶の構造上のデザインから渡り鳥を保護する高度電子システムにまで及んでいる。しかし計画の主な焦点は石油流出の防止、対応、軽減にある。研究開発計画は石油汚染の問題と総括的に取り汲んだものであり、機械類、それを操作する人員、海洋、河川、及び石油汚染から保護されねばならない海岸地帯の動植物の相互関係を強調するものとなっている。
1.2 研究開発プロジェクトの内容
また、1990年石油汚染法のタイトル?では、石油汚染研究調査関係省庁間整合委員会 (Interagency Cordinating Committee on Oil Pollution Research) は、研究開発計画を策定し議会に対し報告することが義務づけられている。
1992年4月に議会に提出された報告※を下に、研究開発テーマ別年次別予算を右の表に示す。(表中の予算は1000ドル単位)
※Oil Pollution Research and Technology Plan;
Interagency Coordinating Committee on Oil Pollution Research, April 24, 1992
2 民間の研究開発
2.1 MSRCの研究開発
(1)概要
MSRC設立の経緯となった1989年のAPIレポート、その後の設立準備のためのPIR0R&D Technical Subcommitteeの報告に基づき、MSRCは、油漏出事故防止・対策に係る研究開発を重要な任務の1つとしている。
実際の研究開発プログラムは、1991年1月にスタートし、現在様々な分野で調査・研究が進められている。リモートセンシング、現場燃焼(In Situ burning)、分散、石油/水分離、生化学的処置や流出の影響の評価が含まれる。
MSRCの研究開発の資金は企業組織であるMPA(海洋擁護協会)からMSRCへの助成金である年次運営資金の一部として提供されている。官庁の研究開発と同様にMSRCもその他の関係当局と共同研究を行っている。
MSRCは、研究・開発目的で国内/国外の諸団体との協力の合意をしている。現在の共同研究プロジェクトの相手には、NOAA、ミネラルマネージメントサービス(鉱物管理局)、アメリカンペトロリアムインステイチュート、環境保護局/国家環境技術応用会社、エンベロメントカナダ、カナディアンペトロリアムアソシエイション、欧州宇宙局、英国通産産業省/ワーレンスプリング研究所など多数の機関が掲げられる。