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(2)スロータービーチでのフィールド実験(Slaughter Beach)

a. 実験の目的

最も生分解率を高める窒素濃度がラボ実験で推定されたため、この濃度を保つために必要な栄養塩散布頻度をフィールドで調べた。

 

b. 実験の概要

フィールド実験は少し砂利混じりの砂浜、スロータービーチ(Slaughter Beach)で行った。5m×10mのプロットを2つつくり、ピエゾメータ用とサンプル用に、2つの貯蔵器を各プロットの中と外に設置した。これは、潮流の水深を継続的に測るために用いられる。

スプリンクラーのプロットでは、800Lの淡水に20kgのLiN03を溶かした。

サンプル調査は、表面下の砂と、貯蔵器の水を使って行う。波のサイクルによって、トレーサーであるリチウムがどのくらい検出されるかしらべる。水のサンプルは、atomic absorbtion spectrophotometry(原子吸収分光測光器)でリチウム分析を行う。沈澱物のサンプルは、濃縮、ろ過して、activated alumina(AA)でリチウムを測定する。

 

c. 結果

プロットは、高波が全体にかかる位置に設置されたが、実際には小潮で、最初の数日間にプロットに波がかかることがなかった。実験開始直後からリチウム濃度を調べたところ、散布直後の濃度は、砂1kgあたり、120mg/kgから、200mg/kgと、ばらつきがあった。つまり、スプリンクラーによる散布は、考えられていたよりも不均等であった。12時間後の低潮のときに、リチウムは50%消失し、プロット表面により均等に分散し、25時間後の低潮のときには、リチウムはほぼ検出されなかった。

波が汚染地域全域にかかる場合は、毎日の散布が必要である。波がかぶらない地域であれば、栄養塩は数日の間、効果が続く。

 

 

 

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