1.4 段階4(限定的現地テスト)について
ここでは、1994年夏にデラウェア湾フラワービーチ(Flower Beach)の海岸線で行われたフィールド実験について述べる。
油流出対策としてのバイオレメディエーションに関する数々の調査が行われ、その結果、データはバイオレメディエーションが自然状態と比較して、原油の除去を数倍速めると結論づけている。しかしこれらのデータは不確かで、サンプル調査方法もばらばらである。
何故デラウェアが選ばれたのかと言う点についてであるが、デラウェア湾実験プロジェクトは、地元の自然環境規制局やUS-EPAのラボが、以下の理由で関心を寄せていた。
?デラウェア川の港は原油、石油製品などを大量に受け入れており(1990年で12億バレル)、流出等の非常事態に備える必要がある。
?デラウェア、ニュージャージーの海岸線は、春の間、さまざまな生物の重要な生息地帯となる(horseshoe crabs、渡り鳥など)。
デラウェア湾西岸は、渡り鳥の生息地であり、潮間の砂地が繁殖地であることから、特に汚染による被害が大きい。そこで、この実験でバイオレメディエーションの可能性を確かめようとした。
OTA(技術査定局)の報告では、これまで、玉石浜以外の海浜において、また、様々な種類の油や、気候・海洋条件における実験データや細かい分析がなされていないとのことだった。また、学会では、栄養塩の使用が微生物製剤よりも有望とされているとしている。信憑性のあるデータの不足が言われており、この調査では、第一に、栄養塩、微生物製剤双方の効果を確かめ、砂浜でのバイオレメディエーションの運用ガイドラインをつくること。第二に、数種の毒性生物検定を用いることで、生分解による油分解を量計することを目的として調査した。
デラウェア実験は、1)独立レプリカ、2)ランダム、3)フィールド実験の単純化の重要性の3点を確認するための調査であった。
(1)実験目的
エクソン・ヴァルデス号事件後の大規模なバイオレメディエーションは、高い効果を発揮したと言われるが、場所によって流出油中の成分の違いが大きく、平準化されたデータが得られなかった。そこで、?栄養塩、微生物によるバイオレメディエーションが、砂・砂利浜の油汚染に効果を発揮するという統計的証拠をえること、?高い効果が得られる散布率を計算すること、?油汚染海岸線のバイオレメディエーションを行う技術的ガイドラインをつくること、?バイオレメディエーションが与える海洋生物への毒性を調べることを目的に実験を行った。
(2)実験の概要
1994年夏のデラウェア・フィールド実験では、人工的に原油汚染した砂浜で無