4. 視覚効果確認試験
4.1. 要約
平成7〜8年度の生分解試験に供した試験油は、アラビアン・ライト原油を230℃で加熱処理した加熱風化原油であり、飽和画分(S)55%、芳香族画分(A)33%、レジン(R)とアスファルテン(A)で12%を含んでいる。レジン(R)とアスファルテン(A)は難分解性成分であり、また、芳香族画分(A)も約1/3含んでいるため、かなり生分解しにくい成分を含んでいる。
そこで蒸発分と分解されにくいレジン(R)とアスファルテン(A)を除いた成分で試験を行った場合の分解率を確認する試験を行った。本試験に使用した油は、A重油(イアロト分析では、飽和画分(S)約50%、芳香族画分(A)約50%で、レジン(R)とアスファルテン(A)は検出されなかった(検出限界以下))である。
(1)赤外線の吸光度による分解率の確認
3.4の重要パラメータの同定においては、基本的に加熱風化原油を使用し、全量抽出法によって残留油量を計測したが、A重油を使用して赤外線(波長3.5μm)の吸光度によって分解率の確認を行うことを試みた。
A重油を培地中初期濃度として12,000、24,000、48,000ppmになるようにそれぞれ添加し、28日後の油分濃度を測定(TPH:Total Petroleum Hydrocarbons)した結果、分解率は、4週間で97%(12,000ppm)〜85%(48,000ppm)であった。
(2)目視による確認試験
A重油を利用して、どの程度分解されたかを目視によって確認する試験を行った。
その結果、フラスコに砂を入れない場合、2ヶ月後にはA重油が分解され白濁する様子が確認できた。また、フラスコに砂を入れた場合でも、2週間で白濁する様子が確認された(分解率は34〜43%程度)。