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?欧州におけるバイオレメディエーションの研究・実用化状況

a.欧州では流出事故をきっかけにして、約20〜25年前から研究開発が開始されているが、海岸のバイオレメディエーションは、試験(フラスコ試験、カラム試験、海浜模擬試験、フィールドテスト)により、その効果等を確認し、技術的にはいつでも実用化できる段階である(但し、政策面での対応の遅れから実用化されたことはない)。

また、elf社(フランス)は効果的な栄養塩を開発・生産しており、アラスカのExxon Veldez号事故時に適用され効果が確認されている。

 

b.流出油処理方法としては、以下の方法がある。このうちバイオレメディエーションは、物理的・化学的処理で回収しきれない流出油を処理するための補助的手段であると位置づけされている。

(a)バイオレメディエーション

・現地の微生物に不足する栄養塩を与えて活性化させる(開放系)

・生分解率の高い微生物及び栄養塩を散布する(開放系)

・生分解率の高い微生物を活用したリアクター(処理装置)の中で浄化する(閉鎖系)

(b)プロテクト剤による防護

(c)物理的回収

(d)化学的処理(分散剤の散布等)

 

c.生分解率について、流出油全体あるいは漂着油全体の何%が分解されたか、というデータはない(米国では漂着油の約30%を分解)。フラスコ試験でアラビアン・ライト原油の50%V/Vを分解した試験結果がある。

 

d.バイオレメディエーションの方法について

・対象油:コスト面からみて3〜5kg/?(厚さが3〜5mm)の流出油の処理が妥当である。

・栄養塩の散布:

・油の10%程度の栄養塩を(N:P=10:1)散布する。

・数回に分けて(15〜20日間隔)散布する方が効果的である。

・無機栄養塩が有機栄養塩よりも効果が大きい。

・自然浄化に委ねた場合に比して、生分解速度は2〜3倍になる。

・流出後、1〜2日後(場合によっては1ヶ月後)に石油分解微生物が増殖してから栄養塩を散布するほうが効果的である。

 

 

 

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