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欧米の環境教育の調査を行う中で、各国の法律及び行政通達文書を多数入手することができ、環境教育先進国における環境教育の体制が明らかになった。

そこで本章では、これまでに収録できなかった重要文書を収録し、最後に世界の環境教育の動向と今後について考察を行う。

 

4-1 アメリカ合衆国の環境教育体制

 

4-1-1 アメリカ合衆国環境教育法(National Environmental Education Act of 1990)

1990年11月16日、国民環境教育法(P.L.101-619)が署名発効した。この法律の目的は、環境に関する国民の理解を深め、環境教育および訓練を進め開発することである。同法は、アメリカ環境保護庁(EPA)がこの新しい法律の施行にあたって連邦各省庁の中で主導的役割を果たすことを定め、また地元の教育機関、州の機関、非営利の教育および環境団体、連邦機関、および民営機関による長期にわたる努力を土台に据えている。

同法に基づく権限や強制力は、以下の通りである。

第1条-タイトル-合衆国環境教育法

第2条-所見

環境問題が人間の健康と環境の質に大きな脅威をもたらしており、環境問題について国民を教育し専門的労働力を訓練する現在の連邦の施策、および効果的対応が不十分であるとする議会の所見が述べられている。環境教育のプログラムを確立し支援するというのがアメリカの政策であることが述べられている。

第3条-定義

同法で使われている用語に関する種々の定義が述べられている。

第4条-環境教育事務所

環境保護庁内に環境教育の事務局を設立することを定めている。スタッフの長はシニア・エグゼクティブ・サービスのメンバーであるディレクターとし、フルタイム職員6ないし10名に相当する本部スタッフを擁するものとする。地域的サポーター要員には、地域ごとにフルタイム職員1名相当の職員を含むものとする。

第5条-環境教育および訓練プログラム

環境教育および訓練プログラムの設立と運営を定めている。事務局長は1年ごとに、環境教育および訓練プログラムを設立運営するための助成金または協力契約を、高等教育機関、非営利機関またはこうした機関の組合に対して授与する。その目的は、環境教育プログラムを開発し普及する教育専門家を訓練することである。プログラムには、アメリカ、メキシコ、およびカナダの間での教師および教育専門家の交換が含まれる必要があると定めている。

第6条-環境教育助成金

EPAに対して、環境教育プロジェクトを支援するため、教育機関、州および地元の機関、および非

 

 

 

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