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2-1 全国での指導者養成の現況

 

文部省では、1991年と1992年に環境教育指導資料(中学校・高など学校編、小学校編)、1995年には環境教育指導資料(事例編)を発行し、日本における環境教育のあり方を示した。

地方自治体においては、環境教育基本方針の策定や指導資料の発行、講座・研修会の実施、あるいは環境教育研究校の指定などを行い、環境教育推進や指導者育成を目指して、直接的あるいは間接的アプローチがなされている。

学校教員に対して、直接的なアプローチとなる環境教育指導者養成には、国際的な動向として主に「Pre-service training(教員を目指す学生に対する環境教育)」と「in-service training(教職員に対する環境教育)」の充実が挙げられる。

「pre-service training」については、文部省が定める学習指導要領ならびに各大学における諸問題などについての検討が求められているが、現在の教育システムのなかでは、いまだ解決されておらず、一部の意識ある大学で独自に問題解決への試みがなされているに過ぎない。

「in-service training」については、各自治体での取り組みがすでに始まっている。当協会が、平成7年度に実施した都道府県ならびに政令指定都市を対象にしたアンケート調査(※1)によると、都道府県レベルでは61.7%、政令指定都市レベルでは58.3%が、すでに講座や研修会を開催しているという結果が出た。その実施概要については表2-1〜2に示す。

現在、各地方自治体で事業化されている「in-service training」は、以下のように分類できる。

○環境教育の講座・研修会として実施しているもの(多数)

○教職年数ごとの研修の一環に取り入れているもの(5都道府県・1政令指定都市)

○各教科の研修会の中に組み入れているもの(4都道府県・2政令指定都市)

 

研修プログラムでは、講義をはじめ、ゴミ処理場やリサイクル施設といった環境関連施設の見学、実践事例発表、研究協議などが主流を占めている。さらに具体的内容を見ると、環境教育を進めるうえでの手法に重きが置かれているといった傾向がある。

こうした各地方自治体における独自のプログラムは、学識経験者や専門家と共同で立案するケースと、環境教育担当者自らがほかの事例をもとに立案しているケースとに大きく分けられる。ただし、いずれにしろ地域の環境問題に対して専門的であり、かつ最新の情報を持つ環境NGOとの連携は少ないのが現状であり、平成7年度時点では都道府県レベルでは27.8%、政令指定都市では14.3%にとどまった。

 

※1:アンケート調査は、平成7年度に47都道府県、12政令指定都市を対象に実施された。

ここでの使用したデータは、回答のあった37都道府県(回答率78.7%)と7政令指定都市(回答率58.3%)のものである。なお、各比率は無回答であった都道府県ならびに政令指定都市も含め算出した。

 

 

 

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